「僕の人生そのもの」 26日号で終刊のライフさせぼ 街の変化見つめ続け47年 長崎

これまでを振り返る小川さん(左)と末永さん=佐世保市内

 「『ライフさせぼ』は僕にとって人生そのもの。発行を通して自分も育てられ、人生もつくってもらった」-。4月26日号で終刊するタウン情報紙「ライフさせぼ」の創刊者、小川照郷さん(76)は穏やかに話す。47年にわたり、週刊のローカル情報紙として佐世保市民に親しまれてきた同紙のこれまでを関係者らとともに振り返る。
 長崎県佐世保出身の小川さんは大学卒業後、東京のテレビ番組制作プロダクションで脚本や演出を手掛けるなどしていたが実父の死を機に帰郷。経験を生かしてできる仕事をしようと考え浮かんだのが東京で見かけたフリーペーパーだった。佐世保のことしか書かない無料のタウン情報紙を作ろうと決意し、「佐世保で人生をつくる」という決意もこめて名前は「ライフさせぼ」にした。30歳の時だった。

「ライフさせぼ」の第1号

 1977年に同紙を発行するライフ企画社を創業し、同年12月16日に第1号を発行。その頃はまだ「フリーペーパー」や「タウン情報紙」という存在が浸透していない時代。各家庭にポスティングをしても無料であると信じてもらえずクレームの電話が入ることもあったという。
 3年目くらいから、少しずつ軌道に乗り始め、約6万5千部を発行するまでに成長した。小川さんは編集長兼社長を60歳で引退。以降は会長として同紙を支えた。
 小川さんからバトンを受け取り2005年に2代目編集長となったのが末永修一さん(62)。「とにもかくにも佐世保。佐世保に関するネタを探しに探した。毎週修業のようだったが、街の変化を間近で見つめられたことは財産」と笑顔で話す。
     
 紙面には読者が交流する生活感あふれるコーナーなどもあり、これまで紙面に登場した市民は約6万人。身近な人が載っている“親近感”もあり、読者は毎週楽しみに手に取った。

置き配されている「ライフさせぼ」=佐世保市内

 佐世保に住んでいた時に同紙のポスティングスタッフをしていた松田陽子さん(55)=五島市在住=は同紙の大ファンで、「ライフを通して佐世保への愛着が深まった」という。「雨の日も晴れの日も毎週2日かけて600枚配った。顔見知りになった人から配達を楽しみにしている話を聞いたりと交流も楽しかった」と話した。
 創刊時から同紙に広告を出しているバッグショップタケモト(佐世保市本島町)の竹本慶三社長は「当時はライフ以外に広告を出せるような媒体はなかった。客層とライフの読者層が合致しているから宣伝媒体として有益だった」と惜しんだ。
 同紙を読むことが習慣になっていたという50代男性は「あって当たり前の存在だった。ずっと続けてほしかった」と話した。
     
 小川さんは「佐世保という街に愛情をもって作ってきた」と話し、「読者、クライアントに支えられここまでくることができた。本当にありがとうございました」と結んだ。

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