実写版のシンデレラは乗馬もお手の物! ケネス・ブラナーが生まれ変わらせた往年の名作

4月26日の日本テレビ系『金曜ロードショー』で放送される『シンデレラ』(2015年)。ディズニーの不朽の名作アニメーション映画の実写化で、夢と魔法が散りばめられたような美しいファンタジー作品に仕上がっている。『オッペンハイマー』(2023年)などにも出演している英国の名優ケネス・ブラナーが監督し、オスカー俳優のケイト・ブランシェットら豪華キャストが共演する本作の見どころを紹介しよう。

1950年に、ディズニーが長編アニメーションとして製作し、世界中で愛され続けてきた『シンデレラ』。ディズニー・ラブストーリーの原点にして頂点と言われ、シンデレラ城はディズニー映画のオープニングロゴとしても表示されるなど、ディズニーを象徴する作品で、シンデレラは誰もが知るヒロインだ。

継母と義理の姉たちからいじめられ、辛い日々を送っているシンデレラが、魔法によって美しいドレス姿に変身し、ガラスの靴を履いて舞踏会に出席。そして、王子と惹かれ合うが、深夜12時になると魔法は解けてしまう。王子は、シンデレラが落とした片方の靴を頼りに彼女の行方を捜す……といったストーリーだが、実写版のシンデレラは自らの手で運命を切り開いていくのが魅力的だ。

エラ(リリー・ジェームズ)は、行商人の父と優しい母と共に、森の中の屋敷で幸せに暮らしていたが、母が病死してしまったことで生活が一変。父が再婚し、プライドの高い継母(ケイト・ブランシェット)と、その娘であるドリゼラ(ソフィー・マクシェラ)とアナスタシア(ホリデイ・グレインジャー)が一緒に住むことに。継母も姉たちもエラに意地悪で、彼女を屋根裏部屋に追いやり、使用人のように扱い始める。

寒さをしのぐために暖炉の前で眠り、灰を顔につけたまま働くエラを「灰まみれのエラ=シンデレラ」とからかうなど、継母と姉たちの酷い仕打ちに耐えかねたエラは、家を飛び出してしまう。そんな時、エラは森で陽気な青年・キット(リチャード・マッデン)と出会って親しくなる。実はキットの正体は王子で、彼は死を目前にした父である王(デレク・ジャコビ)から政略結婚を勧められていたのだった。

息子のために花嫁を見つけようと舞踏会を開き、国中から女性たちを集める王。灰まみれのエラに、魔法を使ってブルーのドレスとガラスの靴を与え、美しいプリンセス姿に仕立て上げ、カボチャを馬車に、ねずみを馬に変身させ、舞踏会へと送り出すのはフェアリー・ゴッドマザー(ヘレナ・ボナム=カーター)だ。この有名な変身シーンは、実写だと非常に煌びやかで、楽しくて感動的。舞踏会に参加する女性たちそれぞれのドレスのデザインも凝っていて、衣装の数々が素晴らしい。

『オリエント急行殺人事件』(2017年)などで監督・主演を務めるブラナーは、英国演劇界でも活躍しており、『シンデレラ』でヒロインと王子に扮したジェームズとマッデンを、舞台『ロミオとジュリエット』の英国公演にも抜擢して演出を手がけた。ブラナー、ジェームズ、マッデンのケミストリーは最高で、映画『シンデレラ』は豪華な舞台作品を鑑賞しているかのような、贅沢な気分を味わえる。

ジェームズが演じるシンデレラは、乗馬もお手の物でアクティブだし、勇気があって意志の強い女性。王子に対しても考えをしっかりと伝え、逆境でも信念を貫こうとするヒロインだ。2012~2015年に人気ドラマ『ダウントン・アビー』に出演して注目され、『ベイビー・ドライバー』(2017年)や『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』(2018年)などの映画でも活躍しているジェームズ。最も有名と言えるディズニー・プリンセスであるシンデレラを、輝く魅力で好演しているので、この機会にぜひ注目してみてほしい。
(文=清水久美子)

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