日本生まれ中国で飼育中のシャンシャンが日本語呼びかけに“ピクリ” パンダは言葉を聞き分けられるのか 上野動物園が答えた

上野動物園で暮らすパンダ ※画像は上野動物園公式ツイッター『@UenoZooGardens』より

元AKB48で女優の前田敦子(32)が4月22日にインスタグラムを更新。上野動物園で飼育されていたものの、2023年2月で中国へと帰国したジャイアントパンダの「シャンシャン」に会ったことを報告した。自身の姿とともに、四川省の飼育施設で元気に笹の葉を食べるシャンシャンの近影も公開。ファンからは日中2か国語で、《めっちゃ可愛い》といった声が寄せられている。

17年6月に上野動物園で誕生し、育てられていたメスのパンダ・シャンシャン。当初は満24か月を迎えるタイミングで中国へと返還予定だったが、新型コロナウイルスの影響から帰国を断念。その後も、中国への帰国は実現せず、合計5度の延期となった。最終的にシャンシャンの中国への渡航がかなったのは、昨年2月のことである。

「シャンシャンは、上野動物園としては初となる自然交配で生まれ、育ったパンダです。帰国しなくてはならなかったのは、もともと東京都が繁殖の研究として、シャンシャンの両親(リーリー、シンシン)を中国から借り受けているため。都が中国と結んでいる協定に基づき、借り受け期間中に生まれたシャンシャンの所有権も中国側にあるからです」(夕刊紙記者)

中国への帰国時も成田空港では、大勢のファンに見送られたシャンシャン。現在は、四川省にあるジャイアントパンダ保護研究センターで暮らしている。昨年10月からは一般公開もされ、ここでも人々の心をわしづかみにするアイドルっぷりを見せている様子だ。そんなシャンシャンの近況が伝えられたのは、4月5日のことである。

「韓国のテレビ局・SBSのバラエティ番組『TV動物農場』が、研究センターを訪れた来園者が日本語でシャンシャンへと声をかける姿をYoutube上で公開したのです。実際にそのときの動画を見てみると、”がんばったなあ、シャンシャン”と、来園者が呼びかけた瞬間、それまでモリモリ笹を食べていたシャンシャンが一瞬、ピタッとその手を止めるんです。

そして、それまで寝ていた耳をピクリと立てた後、日本語が聞こえたほうを探して、来園者の元へと歩み寄る姿が収められています。バラエティ番組なので、どこまでリアルなのかはわかりませんが、故郷である日本の言葉に思わず反応した可能性も……」(前同)

■上野動物園に聞いた

シャンシャンにとっては母国語ともなる日本語を理解しているかのような、驚きの姿。映像で伝えられたシャンシャンの行動を知った日本人からは、《上野で本当に愛されて育ったのがわかる》《こんなん泣く》などの感情的な声がSNS上にあふれたほか、《日本で生まれて育ったから、日本語分かるのかなあ》と、シャンシャンは日本語を聞き分けているのか、と話題になったのだ。

果たして、実際にパンダは言語を聞き分けられるのか。そして6年弱、日本で生活していたシャンシャンは日本語を理解するのか――。シャンシャンの“実家”である上野動物園に聞いた。

同園・教育普及係の八巻圭佑さんによれば、飼育業務のなかでは他のジャイアントパンダと同様、シャンシャンにもふだんから名前などの声かけを行なっていたが、「中国語(の環境)で育ってきたリーリーやシンシンと反応が異なるという印象はありませんでした」とのこと。

四川省のジャイアントパンダ保護研究センターでシャンシャンが見せたという行動については、「日本語に反応していることが事実かどうかということを含めてわかりません」という回答に留めたものの、八巻さんは「ほかのジャイアントパンダも同様ですが、(名前を)呼ぶと近づいてくることはありました」と、振り返る。

言語の区別ができているかどうかは不明だが、シャンシャンが自身の名前を認識しているのは確かなようだ。ただ、前述の動画では、シャンシャンは「がんばったなあ」という呼びかけ部分ですでに反応しているかのようにも見える。

日本語を聞き分けているかどうかはシャンシャンしか知る由もないが、彼女が日本に愛着を持ってくれていれば、嬉しい限りだ。

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