遺族年金の概要
遺族年金は、年金を受給中の方や受け取る予定であった方(以降、本人)が亡くなった場合に、条件を満たしている遺族へ支給される年金です。遺族年金の種類によって、条件や受け取れる遺族の範囲も異なります。
2種類の遺族年金における条件や支給される遺族の範囲は表1の通りです。
表1
※筆者作成
この場合の子どもとは、18歳になった年度の3月31日までにある人や20歳未満で一定の障害の状態にある人をいいます。
中高齢寡婦加算とは、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取っており子どもが18歳を超えるなどで遺族基礎年金の対象外となった妻、もしくは夫が亡くなったとき40~65歳未満で生計を同じくしている子どものいない妻が、40歳~65歳になるまでの間、遺族厚生年金の金額に年間61万2000円が加えられる制度です。
ただし、妻が65歳に達すると老齢基礎年金の対象になり、利用できなくなります。
遺族年金はどうやって受け取る?
遺族年金は申し込みが必要な制度です。死亡診断書のコピーや本人の基礎年金番号が分かる書類などを用意して提出します。本人が亡くなった原因や状況などによって必要な書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。
子どものいない60歳妻が受け取れる遺族年金額
遺族基礎年金については、子どものいない60歳妻は表1より対象外のため、受け取れません。
また、遺族厚生年金は本人の老齢厚生年金の報酬比例部分を基に計算するため、今回は夫の報酬比例部分が100万円だったと仮定して計算しましょう。
報酬比例部分が100万円だと、妻が受給できる遺族厚生年金額は4分の3の75万円です。さらに、中高齢寡婦加算の対象にもなるので、年額61万2000円が加えられ、合計で年額136万2000円を受け取れる計算になります。月額だと11万3500円です。
子どものいない60歳妻は遺族厚生年金のみ受給対象だが、中高齢寡婦加算が加算される
夫や妻など、家族が亡くなったときに受給できる可能性のある年金が遺族年金です。遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。遺族厚生年金は、亡くなった本人の老齢厚生年金の報酬比例部分のうち4分の3の金額を受給可能です。
しかし、今回の事例のように子どもがいない場合、妻は遺族基礎年金を受け取れません。遺族厚生年金を受け取れる条件を満たしているなら、その代わりに、中高齢寡婦加算の対象となり、年額61万2000円を追加で受け取れます。
例えば、老齢厚生年金の報酬比例部分が100万円の夫が亡くなった場合、60歳の妻は年間で136万2000円を受給できるという計算になります。
出典
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金を受けられるとき
日本年金機構 遺族基礎年金を受けられるとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー