大人気“予約困難”サウナ『The Sauna』はなぜこんなに人気があるのか?【聖地実体験レポ】

フィンランドでの学びが詰まったこだわりのサウナ(撮影:芝崎樹里)

日本にあるサウナの聖地の一つ、長野県上水内郡信濃町の「The Sauna」をご存知でしょうか。「The Sauna」は、野尻湖畔に建つ宿「LAMP野尻湖」にあるサウナで、支配人やスタッフ自らがサウナの本場であるフィンランドに足を運んで作ったこだわりの本格サウナが特徴です。

「The Sauna」のサウナは全部で5つあり、全て独立したサウナ小屋になっています。2019年に1号棟が完成し、2023年7月に5号棟が完成しました。黒姫山の伏流水や井戸から引いた地下水を使った水風呂が用意され、暖かい時期は野尻湖にダイブすることもできちゃいます。「The Sauna」周辺には豊かな自然が広がっているので、休憩タイムはまさに森林浴。これぞザ・アウトドアサウナ! を感じられる癒しの空間なのです。

今回は「The Sauna」の5号棟サウナの体験を、「The Sauna」支配人の野田クラクションべべ―さん、5号棟サウナを作ったスタッフのサラマンダー小野さんのお話を交えレポートします。ちなみに野田さんと小野さんとは、筆者も参加した『サウナビルダーのためのフィンランドサウナツアー』で出会った、サウナツアー仲間でもあります。

野尻湖畔にある宿「LAMP野尻湖」

■TVドラマで放送された大人気のサウナ

「「The Sauna」の5号棟は、サウナを舞台に人間ドラマが繰り広げられる大人気のTVドラマ「サ道」(テレビ東京系列)の中で、お笑いタレントの原田泰造さんや俳優の磯村勇斗さんらの入浴シーンが撮影された影響で、昨年末の放送後から元々の人気に拍車がかかり、現在では数か月先まで予約が埋まっている大人気のサウナとなっています。

■3時間があっという間! リフレッシュする最高の時間

筆者が予約したのは3月の平日お昼12時からの枠。長野県信濃町は、3月でも雪が積もり美しい白銀の世界でした。前回「The Sauna」を訪れたのは約4年前で、まだ1号棟しかなかった景色と比べると、敷地がかなり拡大されオリジナルのサウナワールドが確立されていたことにまず驚きました。

小さな村のようになっている「The Sauna」

受付を済ませ、早速水着に着替え5号棟のサウナ「ヴィーシ」(フィンランド語で5を意味する単語)へ。入口で出迎えてくれるクマの看板がとっても可愛い。塀で仕切られた空間の中には、サウナ小屋、専用水風呂、休憩用のリクライニングチェア、荷物置き場があり、ここでルーティンが完結できるようになっています。5番目のサウナ「ヴィーシ」は、5角形にこだわったサウナなので、床の模様も5角形だったり、サウナ小屋も5角形です。

サウナ室に入ると、センターに立派なサウナストーブが鎮座していて、左右対称に3段のベンチがあり、小窓から美しい雪景色が見えます。中もちゃんと5角形なんですね。

まずは最上段に座ります。室内の温度は90度を超えているのに全く息苦しくありません。酸素が充分に満たされている感じです。この辺りのヒミツは後ほどご紹介したいと思います。また薪を燃やした熱源のためか、熱いのに肌当たりがとてもマイルド。

バケツの水をロウリュすると、舞い上がった蒸気は全身を包みこんでそのまま留まり、ずっと暖かいのでまるでお風呂に入っているかのような心地よさを感じました。

井戸から引いた地下水をかけ流している水風呂は皮膚がキリッと引き締まる感覚。水風呂の深いゾーンは130cmあるので、頭の先まで潜れちゃいます。水風呂の温度は通年約9度とのことですが、しっかりサウナで暖まっているため、心地よく入れました。

水風呂から上がると、もうととのい始めていて、半分ふらふらしながらインフィニティチェアへ。水風呂から聞こえるジョジョジョという音と、新鮮な空気、周辺の木々を照らす太陽の光に癒される森林浴。こういう心地よさは都会では味わえません。ウトウトして寝てしまいそうになります。

定期的にスタッフの方が薪を入れに来てくれるのですが、アロマ水をロウリュしてくれたり、クマさんの形をした雪をサウナストーンに乗せてくれるなど、ホスピタリティの高さを感じました。なお、サウナ室の温度の好みをスタッフに伝えると調整してくれます。

それぞれのペースでサウナを楽しみ、心身ともにリフレッシュした3時間は意外とあっという間でした。体が冷えがちな女性のみ、ゲストハウスの温かいお風呂に入ってから着替えができるところも有難いです。

■サウナの前後も楽しい

「LAMP野尻湖」の中にあるショップ。センスのいいものばかり

「LAMP野尻湖」には、オリジナルグッズが充実したショップやレストランがあるので、入浴前後の時間も楽しめます。筆者はレストランで「塩梅スカッシュ(500円)」を注文。レモン味でさっぱりしつつもサウナで失われた塩分も補給できる一石二鳥のととのいドリンクでした。

スタッフの方イチオシの塩梅スカッシュ

■こだわりが詰まった「ヴィーシ」のヒミツ

5号棟サウナを堪能した後、こちらのサウナを作ったスタッフのサラマンダー小野さんにお話を伺いました。

「The Sauna」で働くサラマンダー小野さん

「ヴィーシ」のこだわりと聞くと、とにかく一番大切にしたことは、ロウリュした時の蒸気のぬくもりをしっかり感じてもらうこと(=蒸気の気持ちよさ)だそう。はい、それをまさに感じました。サウナストーブは、フィンランドで実際にサウナに入って気に入ったというNarvi(ナルヴィ)社のもの。このこだわりのストーブにロウリュした時の蒸気をどう対流させ留まらせるかは、フィンランドで現地の火入れ師の方に詳しく教わった方法です。

サウナ室で普段見ない板が天井に付いています。舞い上がった蒸気はここに当たりはね返るようです。

息のしやすさについて前述しましたが、酸素を取り込む工夫がされているとのこと。その工夫とは、サウナストーンの背後には外と繋がるダクトを、またベンチ下には通気口を設けています。そこから新鮮な酸素がサウナ室内に取り入れられているのです。

他にも煙突や壁なんかにもひと工夫があるそうですよ。気になる方はぜひ直接聞いてみてくださいね。

■最後に支配人からのメッセージ

「The Sauna」の支配人である野田クラクションべべ―さんから、BRAVO MOUNTAINの読者へメッセージをいただきました。

とっても素敵な笑顔をくれた野田クラクションべべ―さん

「サウナはなくても生きていけるものだけど、サウナでリフレッシュしてもらうことで皆さんの人生をより豊かにする場所を提供したいと思っています。アウトドアやサウナに興味がある方は特に、良かったらぜひ足を運んでみてほしいです」とのこと。なお、野田さんご自身は、ここ信濃町で暮らしているお陰でストレスがなく、既にととのっているのでサウナでととのえる必要がなくなったそう。ここで働くスタッフ自らが楽しんでないと、人に楽しさを与えられないとお話されていました。かっこいい!

●「The Sauna」概要

サウナ料金:
1・2号棟 平日/1人 3,500円(税込)、休日/1人 4,500円(税込) ※2時間制
3・4号棟 平日/33,000円(税込)、休日/36,000円(税込) ※3時間制、1棟貸切予約
5号棟 平日/35,000円(税込)、休日/38,000円(税込) ※3時間制、1棟貸切予約
住所:長野県上水内郡信濃町野尻379-2
電話:026-258-2978

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