24歳の元Jr.ERC王者マルティン・セスク、今夏のポーランドとラトビアでフォードからラリー1挑戦へ

 この夏にポーランドと母国ラトビアで開催されるWRC世界ラリー選手権ラウンドにて、昨季2023年のERCヨーロッパ・ラリー選手権でランキング2位を記録したマルティン・セスクが「ラリー1での参戦」を表明。Mスポーツ・フォード・ワールドラリーチームが用意する『フォード・プーマ・ラリー1』で、最高峰クラスへ挑むこととなった。

 元ジュニアERC王者であり、ERC通算3勝を記録する24歳は、今季より本格デリバリーが開始された新型『トヨタGRヤリス・ラリー2』にスイッチし、引き続きチームMRFタイヤからのエントリーで2024年のプログラムを開始。開幕戦『ラリー・ハンガリー』では残り2SSまで総合首位の座を維持し、新型モデルのデビューウインまであと一歩のところに迫った。

 そんなセスクは、昨季までERCのカレンダーに組み込まれていた6月27~30日開催の『オーレン80th・ラリー・ポーランド』より、今季からWRCに昇格した高速グラベル(未舗装路)イベントの2戦に出場。初戦となるポーランドでは、2024年シーズンの新レギュレーションによりハイブリッドを搭載しないラリー1規定車両を走らせる最初のドライバーとなる見込みだ。

 この規約変更はラリー2からラリー1車両へのステップを踏み出すのを支援する継続的な取り組みの一環として実施され、プラグインハイブリッドシステムの代わりに同等のバラスト重量で出場することを可能としたもの。これはラリーにおける将来の才能をサポートするというMスポーツとWRCプロモーターの共通目標とも一致しており、セスクはそのプログラムを活用して最高峰挑戦の機会を得た。

「こうしてMスポーツ・ワールドラリーチームやWRCプロモーターと力を合わせて、ラリー2からラリー1レベルに昇格する素晴らしい機会を得ることができて夢が叶った。心から感謝している」と、その実力を証明する機会を得たセスク。

「正直に言うと、もうすぐ僕らがラリー1マシンで世界のもっともエリートなドライバーたちと一緒に競争することになると完全に信じるには、何度か自分に言い聞かせる必要があるね(笑)」

今季より新型『トヨタGRヤリス・ラリー2』にスイッチし、引き続きTeam MRF TyresからERCに参戦する
M-Sport Ford World Rally Teamが用意する『フォード・プーマ・ラリー1』で、最高峰クラスへ挑むこととなった

■セスクの実力は、多くのWRCトップドライバーを育てたMスポーツ創設者のお墨付き

 昨季のERCでは、このポーランドで優勝を飾っているセスクだが、続く地元ラウンドの『テト・ラリー・ラトビア』では、前人未到の全ステージ完全制覇で連勝を成し遂げてもいる。そんなERCイベントで得た経験も活かし7月18〜21日に開催される母国戦では、フルハイブリッドのパワーを活かしたフォード・プーマ“ハイブリッド”ラリー1での参戦を目指す。

「ここまでの道のりは、多くの人々……とくに家族の多大な努力によるものであり、そのラリーの伝統は1965年にリエパヤで祖父が参戦した初イベントにまで遡る。そして59年後の今、僕は同じラリーに参加する機会を得た。それも初のWRCイベントとしてね」と続けるセスク。

「ラリー1マシンに適応するには、間違いなく僕らの揺るぎない集中力とコミットメントが求められるが、僕らは全力を尽くす準備ができている。『フォード・プーマ・ラリー1』初の非ハイブリッド型モデルの操縦を任されたことで、将来何が起こるかを見るのがさらに楽しみになったよ」

 そのセスクに白羽の矢を立てた、おなじみMスポーツ設立者のマルコム・ウィルソンも、その才能に全幅の信頼を寄せる。

「ERCの過去2シーズンにおけるマルティンのパフォーマンスは、彼がこの支援を受けるに値する人物であると判断するに足るものだ。彼はラトビアとポーランドで勝利し、その優位性を証明している。時間が経てば、彼がWRCの常連としてシリーズの顔になるだろうと我々は信じている」

「時間が経てば、彼がWRCの常連としてシリーズの顔になるだろうと我々は信じている」とMスポーツのマルコム・ウィルソン
「ラリー1マシンに適応するには、間違いなく僕らの揺るぎない集中力とコミットメントが求められるが、僕らは全力を尽くす準備ができている」とマルティン・セスク

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