「25時、赤坂で」撮影現場レポート! 駒木根葵汰&新原泰佑が“あるもの”をめぐって大激論?

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今や一大ジャンルに成長したBLドラマが、また新たな熱狂を起こそうとしている。それが、夏野寛子の人気同名コミックを実写化した木ドラ24『25時、赤坂で』だ。

人気俳優・羽山麻水と、新人俳優の白崎由岐。大学の先輩後輩だった2人はBLドラマでカップルを演じることに。初めての大役に思い悩む白崎に羽山が提案したのは、撮影が終わるまでの間、役づくりとして恋人関係を結ぶこと。リアルとフィクションの間を交錯する2人の関係に沼落ちするファンが続出している。

そこで、気になる撮影現場を独占取材。羽山役の駒木根葵汰&白崎役の新原泰佑の仲良し対談とあわせてお届けする。

駒木根さんは知性的、新原さんは情熱的

今回潜入したのは、2話の重要な場面である羽山&白崎のデートシーン。
見上げるほどの巨大水槽の前に集まるエキストラたち。スタッフも機材セッティングのため忙しなく駆け回っている。そんな独特の緊張の中、ひと際目立つ人影が。羽山役の駒木根葵汰と白崎役の新原泰佑だ。
監督の堀江貴大を交え、このシーンの打ち合わせをしている。SNSで原作ファンからネガティブなコメントを浴び、自信を失ってしまった白崎。自分が「誰にも見つけられないまま」この世界になんとか潜り込んだのに対し、羽山は「選ばれて」この世界に入った。その差に引け目を感じる白崎の心を、羽山の言葉が救う大事なシーンだ。

まずは、段取り(ドライリハーサル)から。カメラをまわさず、動きや台詞のニュアンスなどのチェックを行う。ひと通りシーンを通すと、すぐに監督とディスカッション。2人が真摯に役に向き合っているのが伝わってくる。

このシーンで、白崎は初めて羽山のことを「麻水さん」と名前で呼ぶ。台本には(照れつつ)と記載されているが、新原が名前を呼んでから照れるという芝居をする。そのことについて監督に尋ねられると、新原は「きっと白崎は、動揺している羽山を見て、衝動的に名前で呼びたくなったんだと思う」と解釈。その上で、名前を口にしてから照れ臭くなったというふうに、自分なりのアレンジを試みたようだ。

そんな新原のアイデアに、監督も「僕のイメージを越えて、新原さんの中で1本筋が通ってるんだなとうれしくなりました」と納得の表情。「新原さんは情熱的に、感情と身体全部ひっくるめて役に飛び込んで演じる俳優さん。自信と不安を常に持ち続けながら、ちゃんと悩んで役と向き合っている感じが人間らしくて好きです」と信頼を寄せている。

一方、段取りを終えたあと、駒木根も監督と2人で演技の相談を始めた。ある台詞について、監督から「ここの台詞を一番響かせたい」とオーダーを受けたようだ。監督の話に熱心に耳を傾ける駒木根。「じゃあ、その台詞を際立たせるために直前の台詞を少し抜けたトーンでやってみます」と自ら提案を重ねる。単に言われた通りに演技をするのではなく、キャッチボールを交わしながら、ベストの羽山を追求する。駒木根もまた役への妥協が一切ない。

そんな駒木根を監督は「知性的で、見ていて居心地の良い芝居をする俳優さん」と称賛。「すごく深く役のことを考えてきて現場に臨んでいるけど、お芝居をする瞬間はその場で演じてみて感じたことを大事にお芝居できるところがとても素敵です」とその柔軟な感性に敬意を表していた。

待ち時間に2人が話していたのは…?

ドラマの現場というのは、意外に待ち時間が多いもの。本番に向けて、スタッフが準備を進める中、2人もしばし休憩。すると、新原の方からスマホを持ち出し、水槽をバックに2人で自撮り。その光景は、本物のデートさながらだ。

手すりにもたれながら、仲良く雑談する2人。目の前の魚たちを指差しながら、何やら盛り上がっている。そっと聞き耳を立ててみると、魚を前に好きな刺身トークに花を咲かせているようだ。

「俺はノドグロと中トロ!」と駒木根が答えれば、「俺はタコとタイ」と新原も目を輝かせる。多忙な撮影が続く中、ふっとできた束の間の休憩タイムは、学校の休み時間に他愛のない話を繰り広げる同級生のよう。2人の間だけ、マイナスイオンが放出されているような癒しの時間が流れていた。

いよいよ準備が終わり、本番スタート。リハーサルとはまた違う、背筋の伸びるような空気が館内を包み込む。その中で、真剣にお芝居を交わす駒木根と新原。アングルの都合上、こうした撮影は何度か同じシーンを繰り返さなければならない。けれど、集中が切れる気配は一切ない。重要な台詞のやりとりが続くが、2人からNGが出ることはなく、快調に撮影が進んでいく。

そして、現場に入ってからわずか2時間足らずで、このシーンは無事に撮影終了! 駒木根&新原の2人はもちろん、スタッフの高いプロフェッショナリズムを感じる撮影だった。

最後に、駒木根&新原のインタビューをお届け! 人気原作に真摯に向き合う姿勢と、“あるもの”に対して異常にヒートアップする2人のトークを楽しんでほしい。

1話のキスシーンで、この人で大丈夫だと安心できた

――1話のラストのキスシーンが大きな話題を呼びました。撮影の様子を聞かせてください。

新原 すごく緊張しました!

駒木根 緊張してたんだ?

新原 え? どうなんですかね?

駒木根 いや、全然そんなふうには見えなかったから。

新原 違う世界線にいた2人が、初めて同じ時間軸を歩みはじめるシーン。ドラマとしても、「2話も観たい」と思ってもらえるシーンにしなくちゃいけなかったから、やっぱりプレッシャーはありました。駒木根くんは緊張しなかったの?

駒木根 僕は緊張というよりも、ちゃんとできるのかなって心配のほうが強かったかな。ちゃんとしたキスシーンがほぼ初めてだったから、見せ方とかが全然わからなくて。いろんな方がモニター前で見ているのを「どうでした?」「どうでした?」って聞きながら試行錯誤していました。

新原 僕は今まで映像でいただいた役がわりとキャラクターっぽい役が多くて。ここまで内からすべてを出していく役をあまりやったことがなかったんですね。だから、自分の中で表現方法の選択肢が少なくて。でも監督からは内面を出すことを求められるし。どんどんわけがわからなくなって、周りも見えなくなって、正直、あのシーンの記憶があんまりない(笑)。

駒木根 個人的にはあのシーンを撮り終えたことで、新原くんとちょっと心の距離が近づいたかなと思った。大事な場面だからこそ、僕としても絶対妥協したくないという思いがあったし。新原くんも同じ気持ちでいてくれているのが伝わってきたから、これから一緒にやっていく上で、改めてこの人で大丈夫だって安心できたシーンでもありました。

キャラクター芝居ではなく、人間味を追求する

――実際にクランクインして一緒にやってみたことで気づいた相手の意外な一面はありますか。

駒木根 基本、待ち時間の間は新原くんが80%喋って、僕が20%喋るという感じなんですよ。

新原 大体そんな感じですね。

駒木根 だから、すごく話すのが好きで明るい人なのかなと思っていたら、お芝居に対して真剣に悩む姿というのを目の当たりにして。そのもがいている姿を見て、なんか僕はうれしかったんですよね。

新原 え? どのシーン?

駒木根 2話のエゴサをした後のシーン。

新原 ああ! まさに昨日撮ったばかりのところね(笑)。

駒木根 SNSのマイナスなコメントを見て落ち込んだ白崎が、羽山に対して珍しく強い気持ちをぶつけるシーンなんですけど。

新原 白崎としては、羽山さんと再会して、初めて大きな役をもらえて、連ドラの現場という夢見た場所についに足を踏み入れて高揚している中、一気にどん底に突き落とされるわけで。そこには、自分に対する悔しさもあれば、やっぱり羽山さんへのジェラシーもあるわけじゃないですか。

駒木根 そうだね。

新原 だから、あそこのシーンは感情がひとつじゃないんですよね。複数の感情が入り混じっていて。ある意味、白崎っぽくないシーン。こういうとき、白崎ならどう動くんだろうって監督やプロデューサーさんと話をして。いつもであれば、カメラワークとかも考えながら動きを決めるんですけど、「白崎は本能のまま言いたいことを言うし、やりたいことをやるキャラクターだから、それをそのまま撮りたい」と監督がおっしゃって。自分ではどう動けばいいのかわからない。でも、監督は白崎としての確固たる意志が見えない限り、撮りはじめない人なので。自分を納得させつつ、監督たちにも納得してもらえる芝居って何だろうって、昨日は悩みましたね。

駒木根 難しいよね。原作がある作品だからこそ、白崎というキャラクターをどう見るかはたぶん人それぞれ違っていて。これが白崎だという全員共通の答えがない中、自分なりの白崎を提示しなきゃいけない。みんなの意見を聞きながら、その中で自分にとっていいと思えるものとそうじゃないものを出し引きしながら役を見つける作業は大変だろうなと思いながら見守っていました。

新原 また駒木根くんが優しいから、いくらでも付き合ってくれるんですよ。今のところその優しさにずっとおんぶに抱っこになっています(笑)。

駒木根 そんなことはない。むしろそういう試行錯誤しているところを最初に見せてくれて助かったというか。僕もこれからどんどんそういう場面にぶちあたっていくわけじゃない?

新原 そうだよね。

駒木根 今はまだ羽山はミステリアスなままというか。白崎に対してどう思っているのか、観ている人も確信が持てない状態。後々もっと気持ちをさらけ出す場面が出てくると思うので、そこに辿り着くまでの過程を、羽山のキャラクターをぶらさずに、いちばんいい形で表現できたらと考えながらやっています。

新原 この作品ってキャラクター芝居にしようと思えば、いくらでもできると思うんです。でもそこを駒木根くんも僕も人間味のある役にしようとしていて。2次元と3次元を織り交ぜながら、原作の実写化としても、ひとつのドラマとしても、誰もがっかりしない面白い作品にすることが目標。そのためのいい塩梅を2人で探り合っている感じです。

菌類についてディベートしていました(笑)

――では、最後に今2人の間で流行っていることを教えてください。

駒木根 菌です。

新原 菌ですね。

――菌……?

駒木根 キノコとか納豆とかの、菌類。

新原 菌類についてディベートしていました(笑)。

駒木根 僕がキノコが苦手なんですよ。でも、新原くんはキノコとかなめ茸が大好きで。僕が「キノコなんて菌じゃん」って話をしたら。

新原 「駒木根くんも納豆とかヨーグルト好きなんでしょう。それも菌じゃん!」って。

駒木根 だから僕も「納豆の菌は素晴らしい菌だ。ヨーグルトの菌も素晴らしい菌だ。でもキノコの菌だけは違うんだ」と。

新原 意味わからないでしょ?

駒木根 僕は脳筋スタイルなんで、何が違うのか僕自身もわかってないんですけど、力で押し通しました(笑)。

新原 僕は「この人は何を言ってんだろうな…」と思いながら、「いや、キノコも菌だよ」ってずっと言い返していました(笑)。

駒木根 今のところ全勝です。

新原 違うんです。駒木根くんが勝った気でいるだけで、僕が匙を投げて途中から何も言わなくなるだけです。

駒木根 でもそれは僕の理論に打ち勝てなくなった証拠なので。

新原 意味わからないんですよ。「キノコは毒キノコもあるんだよ。毒がある時点でこれはダメな菌なんだ」って言い出して、「勝った…!」ってドヤ顔をしていました。

駒木根 だって、毒納豆とか、毒ヨーグルト聞いたことあります? ないですよね。

新原 いや、キノコも毒のないものが普通にあるから。

駒木根 毒のあるものもあるわけでしょ? 危ない危ない。

新原 「もし手に取ったのが毒キノコだったらどうするんだ」って熱弁してくるから。「いや、そんなスーパーに毒キノコとか並んでないと思うんだけどな…」と心の中で思ってた(笑)。

駒木根 だって、そこらへんにキノコがあったら食べちゃうでしょ? 危ないよ。

新原 待って。僕、そこらへんのキノコ食べちゃうような顔してます?(笑)

駒木根 顔とかじゃなくて。キノコ大好きって言うから。

新原 キノコが大好きだと言ってるだけで、別にそのへんのキノコを食べますと言ってるわけじゃないですよ。

駒木根 いつかそういうときが来るかもしれない。

新原 サバイバル的なね。でもそうなったら駒木根くんも食べてるかもしれないですよ?

駒木根 絶対食べない。

新原 サバイバルでも? 目の前にキノコしかないの。他に食料はないの。どうする?

駒木根 食べない。

新原 食べずに死ぬの? だったら諦めず、そこにある怪しい毒キノコを食べてみます。何事もやらずに後悔するより、やって後悔した方がいいでしょ! ねえ、何の話―!

取材・文:横川良明 撮影:杉映貴子

<番組情報>
木ドラ24「25時、赤坂で」

テレビ東京 テレビ大阪 テレビ愛知 テレビせとうち テレビ北海道 TVQ 九州放送/毎週木曜深夜24:30〜25:00 放送中
BSテレ東、BSテレ東4K/ 毎週火曜深夜 24:00〜24:30 放送中

(C)「25時、赤坂で」製作委員会

公式サイト:
https://www.tv-tokyo.co.jp/25jiakasakade/

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