兵庫県知事批判文書問題 記者に対する県の聴取、新聞労連が抗議声明 「報道の自由を侵害」

兵庫県庁=神戸市中央区下山手通5

 兵庫県の斎藤元彦知事らに対する批判文章を作成し、流布したとして西播磨県民局長の男性(60)が3月に解任された問題で、新聞労連は26日、男性の懲戒処分を検討している県人事課が神戸新聞社の記者に文書を受け取ったかどうかの回答を求めたことに対し、「情報源の秘匿に踏み込む不当な『聴取』だ」とする抗議声明を発表した。

 県人事課は今月17日、男性に対する調査の一環で、神戸新聞記者に文書を受け取ったかどうかを聴取。記者は「取材源の秘匿に関わり、受け取ったとも、受け取っていないとも答えられない」と回答を拒否した。

 新聞労連は声明で「記者から経緯を聴取し、情報源の開示を迫る人事課の高圧的な対応は、報道の自由や市民の知る権利を侵害するものだ」と非難。その上で「取材源にかかわる証言を拒否できる」とした最高裁の判断を挙げ、報道機関への聴取を続ける意向を示した県の対応を批判した。

 26日に県庁で会見した新聞労連の石川昌義中央執行委員長は「権力機関による聴取は情報源との信頼関係を崩すもので、厳重に抗議する。県は報道機関への聴取を即刻やめるべきだ」と話した。

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