神戸ポートタワー、リニューアルオープン! 2年7か月ぶりに営業再開 「イケてるスポットになった」

関係者らによるテープカット(2024年4月26日午前)※撮影・ラジオ関西 コンテンツニュース部

みなと神戸のランドマーク「神戸ポートタワー」(神戸市中央区)が、2021年9月からの改修工事を終え、26日、リニューアルオープンした。2年7か月ぶりの営業再開に、午前11時の開場前から、入り口付近には当日券を求める人々が列を作った。

【図解】一目で分かる!リニューアルで変わった点

オープンに先立ち、タワー北側でセレモニーを開催。108メートルのタワーの高さにちなみ、ポートタワーにゆかりのある関係者108人が参加した。

神戸市の久元喜造市長は「改修で心掛けたことは、市民に愛されてきたタワーの形を変えずに耐震補強を行い、安全性を高めることだった」と述べ、「今回のリニューアルは新しい神戸のウォーターフロント事業の幕開き。多くの人に来てもらい、海と山に育まれた街の魅力をあらためて感じてほしい」と笑顔で話した。神戸市消防音楽隊のファンファーレが高らかに鳴り響く中、関係者らは、タワー1階の周囲をぐるりと囲んだテープにハサミを入れた。

当日券の列の先頭にいた神戸市北区の会社員男性(51)は、午前休を取って始発で駆け付けたという。男性は「神戸のシンボルといったらぱっと思い浮かぶのはやはりポートタワー。外見はそのままと聞いていたので、安心して工事を見守っていた。どのように変わったのか早く自分の目で確かめたい」と待ちきれない様子。「これまでなんとなくダサいイメージだったが、新しく入るお店はかなりおしゃれ。イケてるスポットになったので若者たちで賑わうのでは」と期待を膨らませていた。

神戸ポートタワーは1963(昭和38)年開業。翌年には約91万人が来場、観光スポットとして人気を集め、神戸の風景に欠かせない存在に。しかし、新型コロナウイルス感染拡大前の2019(令和元)年の来場者数は約33万人。客足を伸ばすことが大きな課題となっていた。運営母体の「神戸ウォーターフロント開発機構」(神戸市)は今回のリニューアルで、2019年の約2倍にあたる年間60万人の集客を目指している。

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ポートタワーのリニューアルには「2つの理由」がある。1つは耐震補強。もう1つは、神戸のランドマークとしての復権だ。

耐震補強を行うにあたり、鼓型の赤色の鉄骨構造には手を加えず、国の登録有形文化財の外観を損なわないよう配慮した。タワーの最上部(頂部)のTMD(Tuned Mass Damper)は、地震発生時に建物の揺れに同調しておもりが振動し、その揺れを抑制する。また、タワーのくびれ部分で曲がらないよう、内側の白色の柱に沿って48本のオイルダンパー(制振装置)を配置するなど、南海トラフ巨大地震で想定される揺れでも倒壊しない設計となっている。

タワーの構造は、展望フロア(1~5階、屋上デッキ)と低層フロア(1~4階)からなる。屋上の展望デッキをはじめ、展望1~5階のコンセプトは“brilliance -赫(かがや)き”。運営は神戸の生活雑貨通信販売大手「フェリシモ」(神戸市)が担う(タワー入場チケット販売、インフォメーションも含む)。

リニューアルの目玉の一つは、地上約100メートル付近の屋上に新設した展望デッキ 「Brilliance Teara」。”PORT OF KOBE”のパネル部分の上に、屋根のないガラス張りのデッキがある。展望フロア5階から階段のみのアクセスとなるが、1周歩いて約1分のゾーンでは、神戸の街並みや神戸港を360度見渡すことができる。また、真下にある神戸海洋博物館エントランス前の広場に描かれた、大きないかりのイラスト全体を見下ろせるなど、新たな発見もある。

展望3階「Ready go round」は、30分で360度回転するカフェバー。座ったまま神戸の街と、六甲山の山並みや海を眺めながら、朝・昼・夜ごとに変わる限定フードメニューを提供する。

低層3~4階「PORT TERRACE」は、神戸の異人館街、北野町を拠点にウェディングやレストラン事業を展開する「クレ・ドゥ・レーブ」がプロデュースするカフェ・レストラン&バー。地元・兵庫のフルーツを使ったスイーツやドリンク、アラカルトメニューが味わえる。4階の屋外テラスからタワーを眺めると、“鉄塔の美女”の内側から、幾何学的な模様の骨組みが現れる。

低層2階の物販エリアは、地場産業の商品開発やプロデュースを展開する「熾(イコリ)」(神戸市)が運営。同店では、神戸・長田ですべての工程をハンドメイドで製造する「神戸ザックIMOCK(イモック)」を中心に、播州織のストール、淡路島のお香、丹波焼など兵庫の地場産品を用意した。

「ポートアレイ」は神戸の魅力を発信するポップアップスペース。神戸らしさを感じる酒、パン、スイーツ、真珠などが集結し、一角を仕切って日本酒を立ち飲みできる「角打ち」スペースもある。

国内セレクトショップ・アパレル大手「BEAMS」が、日本の魅力を発信するブランド・ライン「BEAMS JAPAN(ビームス・ジャパン)」も兵庫県内初出店。エメラルドカラーの神戸限定アイテムも販売する。

フェリシモの矢崎和彦社長はラジオ関西の取材に対し、「オープン直前まで準備を重ねていただけに感無量。神戸ポートタワーは外見の美しさだけでなく、中でもワクワクできるコンテンツを盛りだくさんに用意した。お越しいただいて、満足してもらえる自信はある。これからも常に変化、進化する努力を続けたい」と意欲を語った。さらに、アメリカの大手旅行雑誌「コンデナスト・トラベラー」が発表した「2024年にアジアで行くべき最高の場所」で、日本から唯一、神戸市が選ばれていることを挙げ、「(雑誌では)ポートタワーのことにも触れ、『クリエイティブな空間があふれ、デザインの刺激に満ちた街』と紹介されている。1人1人がプライドを持って取り組めば、神戸は必ず変わる」と話した。

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【神戸ポートタワー】1963(昭和38)年に完成。ハーバーランドやメリケンパークがあるウォーターフロント地区の神戸港中突堤に建つ、みなと神戸のランドマークタワー。高さ108メートルは大阪・通天閣と同じ(2016年、通天閣の頂上部にある避雷針が3メートルから8メートルに延長されたため)。和楽器の鼓を長くしたような双曲面構造の美しい外観と独特のパイプ構造を持ち、赤色のアクセントと、形状の優美さから「鉄塔の美女」と呼ばれる。2021(令和3)年9月、耐震補強工事が始まり、当初は開業60周年となる2023年夏ごろのリニューアルオープンを予定していたが、台風などの影響で遅れた。

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