ベネチア銀獅子受賞の濱口竜介監督「見る目がありましたね」慧眼キャスティングの決め手を明かす

 映画「悪は存在しない」の初日舞台あいさつに登場した(右から)濱口竜介監督、西川玲、大美賀均、小坂竜士、渋谷采郁

 第80回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)に選ばれた映画「悪は存在しない」(公開中)の初日舞台あいさつが26日、都内で行われ、作品を手がけた濱口竜介監督(45)、主演を務めた大美賀均(35)らが登場した。

 もともと長野のロケハンにドライバーとして参加していたという大美賀の主演起用について、濱口監督は「カメラの前に立ってもらっていたら『あ、良いかも』と思って。見る目がありましたね」と破顔。大美賀は本格的な演技は初めてで「最初の撮影は緊張で頭が真っ白だった」というが、ベネチアのレッドカーペットまでたどり着いたことに「これを超えるハイライトが自分に訪れるか…。迎えてしまったかもしれない」と話した。

 また、物語のキーパーソンを演じた小坂竜士(38)も「ドライブ・マイ・カー」では車両部のスタッフとして参加。濱口監督は「元々は俳優なんですが(スタッフとして)トラックを運転していた人から『僕もチェーホフが好きなんです』と聞かされて。ギャップ萌えです」と笑いながら話した。そして「人柄が良いのがキャストもスタッフも集めるときのコンセプト。撮影中の雰囲気は良いですね」と語った。

 本作は長野県の集落を舞台に、コロナ禍で経営難に陥り、政府の補助金を得てグランピング施設の建設を計画する芸能事務所が、集落の水源に汚水を排出しようとしていることが分かり、地域に動揺が広がるさまを描く作品。

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