「庭の木が太陽光パネルにかかっている」隣人を殺害した40代、懲役23年確定=韓国

隣家の木が自宅の太陽光パネルにかかっているという理由で数年間言い争い、隣人を殺害した40代に懲役23年の刑が確定した。

韓国最高裁判所は殺人、特殊傷害、道路交通法違反(飲酒運転)などの容疑で起訴されたカン某被告(43)に懲役23年を宣告し、10年間の電子足輪(位置追跡装置)の装着を命令した原審判決を確定したと26日明らかにした。

カン被告は隣家に住む被害者Aさん(72)が庭に植えた桃の木の枝が自宅の屋根に設置された太陽光パネルにかかっているという理由で数年間、被害者と言い争っていた。

カン被告は昨年4月、庭で仕事をしていたAさんに酒を飲んだ状態で近づき暴言を吐き、木を切るよう要求したものの、Aさんは「(カン被告が)酒に酔っているので、後で話そう」と言い家に入った。

カン被告はAさんから無視されたと思い憤慨し、同日午後6時40分ごろ刺身包丁を持ってAさんの家の裏庭に行き、Aさんのあごや右肩などを計6回刺し、これを止めようとしたAさんの妻Bさん(67)の右足の甲も刺した。

カン被告は犯行直後に飲酒状態で車を約3キロメートル運転した容疑も持たれている。法定でカン被告は、犯行後に通行人に「私が人を殺したので通報してほしい」と言った後、近くで待っていたことろを警察官に逮捕されたと主張し、自首をしたため刑を軽くしてほしいと要請した。

しかし裁判所はカン被告が「私が人を殺した」という言葉を繰り返しただけで実際に通報を要請したのかどうかは不明確だとし、自首を認めなかった。

1審はカン被告の容疑を認め懲役26年を宣告した。

1審裁判部は、「カン被告は被害者Aさんを数回にわたり強く刺したり切るという残酷な方法で殺人を行っており、犯行方法において罪質は極めて不良でAさんは死亡直前までひどい苦痛を感じたと思われる」と述べた。

カン被告は裁判の過程で、当時は酒を飲んだ状態だったとして心神耗弱を主張したものの、裁判部はカン被告が犯行当時に酒に酔って事物を弁別したり意思を決定する能力が微弱だったと認めることはできないとし、これを受け入れなかった。

2審は懲役23年に減刑した。

2審裁判部はカン被告が1審で否認していた特殊傷害の犯行を自白したことで反省する態度を見せた点、数年間言い争いをしてきた点、Aさんの遺族がカン被告の所有する土地に対し約2億5700万ウォン(約2909万円)相当の不動産仮差し押さえ決定を受け、今後はある程度金銭的な被害回復が可能だとみられる点などを考慮した。

カン被告は刑が重いとして上告したものの、最高裁は「原審の量刑がひどく不当だとは考えられない」と棄却した。

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