昭和レトロの殿堂が営業終了へ 10円や30円で乗れる乗り物も 半世紀の営業を支えた男性の存在

半世紀にわたり市民に親しまれてきた長崎市の浜屋百貨店の「浜屋屋上プレイランド」が2024年5月6日をもって営業を終了する。世代を超えて多くの人の思い出を彩ってきたプレイランド。そこにはオープン当初から遊具を維持、守り続けてきた男性の存在があった。

2024年5月6日に最後の営業

長崎市の浜屋百貨店の屋上にある「浜屋屋上プレイランド」は、遊具やゲームなどが楽しめる場所として親子連れなどで賑(にぎ)わっていた。

1974年のオープンから50年、浜屋百貨店は、プレイランドの営業を2024年5月6日に終えると、4月23日明らかにした。店によると、引き継ぐ人が見つからなかったことや施設の老朽化などを理由に終了を決めた。

運営を支えた男性の存在

現在は閉鎖され立ち入りができないが、KTNは、6年前の2018年10月に長崎浜屋屋上のプレイランドを取材していた。

プレイランド中央にある広場には乗り物コーナーがあり、ロボット型の乗り物は大人が乗れるほどの強いパワーで動き回る。80年代生まれのお父さんお母さんが子どもを連れて遊びに来ると「子どもの頃に乗っていた、いまでも動いているんだ!」と驚く人も多いという。

乗り物の中でも最も古いのは蒸気機関車型の乗り物「べんけい号」だ。1974年(昭和49年)のオープン当初からずっと子どもを楽しませている長老株だ。しかも値段もオープン当時のまま。なんと30円で、2人が乗り込める。

半世紀という長い時間が経っても長く遊べるのは、普段から手入れをしてくれている人がいるからこそだ。吉濱岩夫さんは、オープン当初からプレイランドの運営を行ってきた。

Q.多くの遊具を維持するのは大変だと思うが、修理はどうしているのか。

プレイランド運営 吉濱岩夫さん:
修理は自分で、中も表もやっている

遊具のメンテナンスをはじめ、子どもの安全のために座席には座布団を乗せるなどの細かい配慮も欠かさない。

床が抜ける心配も オープン当初の賑わい

オープンして1年後の1975年(昭和50年)の写真には、ランドを埋め尽くすほどの家族連れが詰めかけた様子が写っている。プレイランド内では、ヒーローショーや芸能人のサイン会なども催され、当時は「屋上の床が抜けるのでは」と担当者が心配するほどだったそうだ。プレイランド内には、ペットショップや軽食のコーナーもあったが、いまはなく、遊具もピーク時から半数となっている。

テントの中には、レトロゲームがずらりと並んでいるが、中でも一番人気は10円で遊べる「ももたろう」だ。「ももたろう」は、ビンゴゲームで横と縦のラインを合わせればお菓子の景品が出てくる。ラストチャンスとしてラッキーナンバーがそろえば景品が出てくるというゲームだが、景品は30円相当なので、1回で成功すればランドとしては赤字覚悟の機種だ。

「山のぼりゲーム」は進むボタンを押し、ハチに刺されたり、蛇にかまれたり、落石に遭わずにゴールできれば景品がもらえるというものだ。

テントの一番奥にあるピンポンゲームには、スキーを滑る人のイラストと「サッポロ」の文字が。1972年札幌オリンピックをイメージして作られた機種で50年以上も前のものだが、吉濱さんが手入れをしながら大切にしてきた。

長崎浜屋は引き継ぐ人が見つからなかったことや施設の老朽化などを理由に営業終了を決めた。

営業終了に利用者からは惜しむ声

営業終了が明らかになった翌日、プレイランドがある長崎市浜町では営業終了を惜しむ声が聞かれた。

高齢女性:
新聞を今朝見て、その当時娘と行って楽しんだことを思い出した。子どもも一緒に遊べて私たちはお買い物を済ませて便利だった。おかげで助かっていた

女性:
とにかく乗り物に乗るのが楽しくて、お母さんにおねだりして何回も乗せてもらった。寂しくなるだろうなと思う

女性:
子どもが小さい時に喜んで行っていた思い出がある。寂しいですね。孫ができたら連れて行きたかった

プレイランドは営業終了前の2024年5月2日から6日の5日間限定で開放され、歴史を振り返る写真展やうどんコーナーの復活などを予定している。

昭和レトロの殿堂「長崎浜屋屋上のプレイランド」。またひとつ、古きよき昭和の景色が姿を消すことになる。

(テレビ長崎)

© FNNプライムオンライン