KADOKAWA、アークライトを子会社化へ――「クトゥルフ神話TRPG」やアナログゲームイベント「ゲームマーケット」などに携わる

KADOKAWAグループは、中長期的な企業価値の向上を図るべく、2028年3月期までの中期経営計画では基本戦略である「グローバル・メディアミックス with Technology」を推進している。そのための重要な施策として、創出するIP(Intellectual Property)の点数を現在の年間5,500点から7,000点に増加させることに加え、メディアミックスを一層加速していくことで、それら一つひとつのIPのLTV(Life Time Value)を最大化させることを目指しているという。

近年、国内のみならず世界的にトレーディングカードゲーム(TCG)やボードゲーム(BDG)など、いわゆる“電源を使わない”アナログゲームの人気が高まり、同市場の成長が続いている。TCG国内市場規模はコロナ禍後に急拡大し、2019年度の1,133億円から2022年度には2,348億円(※1)と2倍超に拡大しているという。そしてBDG世界市場は2023年の93億ドル(約1.2兆円)から2036年には2.4倍超へ拡大(※2)することが想定されている。

また、アークライトが主催・運営する国内最大のアナログゲームイベント「ゲームマーケット」の参加者数は2.5万人を記録している。

アークライトは、TCG業界においては業界トップクラスの店舗網を持つ「ホビーステーション」を運営し、人気のオリジナル作品を創出してきた高い企画開発力と国内最大規模のアナログゲームイベントの運営ノウハウを有している。さらに世界的に有名なアナログゲームの国内ライセンスを多数保有している。

KADOKAWAにおいても、メディアミックスを実現するキャラクターやストーリーを生むコンテンツとして従来よりアナログゲーム事業に取り組んでおり、2004年からアークライトと共同で手掛けている「クトゥルフ神話TRPG」は同事業の代表作となっている。また、KADOKAWAのIPを使った作品としてはアークライトと協同で「ダンジョン飯」を題材とした「モンスターイーター~ダンジョン飯 ボードゲーム~」を2022年に発売している。

アークライトをグループに迎えることで、KADOKAWAが保有する人気IPのメディアミックスのジャンル拡充、すなわちアナログゲーム商品化を加速させるとともに、アークライトが主催・運営する国内最大規模のアナログゲームイベントを通じて新たなゲーム開発者や作家を発掘することでIP創出点数のさらなる拡大を目指し、グループの成長を加速していくとしている。

※1 一般社団法人 日本玩具協会レポートより
https://www.toys.or.jp/toukei_siryou_data.html
※2 SDKI Analyticsレポートより
https://www.sdki.jp/reports/board-games-market/106079

■株式会社アークライト 代表取締役社長 福本皇祐

「アークライトはTCG、BDG、テーブルトークRPG(TRPG)とデジタル全盛の時代に敢えてアナログゲームのみを事業としてまいりました。それはアナログゲームこそが現代社会で求められている人と人のコミュニケーションツールとして最適であるという信念によるものでした。アナログゲームは、ここ数年日本においての認知も進み世の中に広まってまいりましたが、この業界の更なる飛躍のためには海外への進出、IPとの連動が必要だと考えてきました。 将来ビジョンについてKADOKAWAと意見交換をする中で、同社と一緒ならば事業をより強力かつ迅速に成長できると確信し、今回の発表になりました。今後は同社との連携、シナジー効果を利用してアナログゲーム業界のより一層の発展を目指してまいりますので、引き続きのご支援をお願い申し上げます」

■株式会社KADOKAWA 執行役 Chief Publishing Officer 青柳昌行

「KADOKAWAは1989年の『ソード・ワールドRPG』の発売以来、アナログゲーム事業に取り組んでおります。それは単純にゲーム開発としての取り組みではなく、ゲームをIPの源泉ともとらえ、そこから数多くの魅力的なキャラクターやストーリーを生み出してきました。いまや多くの読者を持つライトノベルもアナログゲームからの派生ともいえるものです。今回、長年にわたって共同事業を続けてきたアークライトをグループに迎えることで、アナログゲーム開発事業を加速させるとともに、ゲームマーケットでの新人クリエイター発掘、海外ゲームマーケットとの連動で国産アナログゲームを広く世界に展開していくことを目指してまいります」


© 株式会社イクセル