リニア工事に“要対策土” 住民「子や孫の代にどうなるのか」 JR東海・丹羽俊介社長「ご安心いただけるように」

リニア中央新幹線の工事の方法について、地元住民から懸念の声があがっている。JR東海は長野県飯田市の橋りょう工事で、基準値を超える重金属を含む「要対策土」を使う計画だ。4月22日、JR東海の丹羽社長は「専門家の意見も交えて安全性を確認していく」と述べた。

橋りょう工事で「要対策土」使う計画

大鹿村で進む南アルプストンネル工事。

掘り出した土のうち土壌汚染対策法の基準値以上の重金属を含む「要対策土」の処分が課題となっている。

JR東海は「流出対策」をした上で、「要対策土」5000立方メートルを飯田市の土曽川橋りょう工事で活用する計画で、今年に入って住民説明会で初めて公表した。

しかし、一度の説明では納得できないのが地元住民。安全性への懸念や計画に関する十分な説明を求める声があがっている。

子や孫の代になったときに…

住民は「われわれの代で何ともなくても、子や孫の代になったときにどうなのかという心配はある。できればそんなのここへ持ってきてほしくない」、「こういう工事が進んでるので、仕方ないという面もあるけど、そういう害があるということが分かっているなら、それの対策はとってもらいたい」と話す。

飯田市の佐藤健市長は「理解が得られていないということであれば、引き続き丁寧な説明を求めていく。安全性が確認される形でのデータ公表とかしっかりした情報公開が必要」と述べた。

JR東海「ご安心いただけるように」

4月22日のトップ会談で、長野県の阿部守一知事は「事前に自治体と協議した上で施工後もモニタリング調査や住民への情報共有をしっかり行って安全安心を担保していただきたい」と求めた。

一方、JR東海の丹羽俊介社長は「地元の方々の懸念がないように、ご安心いただけるように、専門家の助言をもらったり、国にもマニュアルがありますので、それを踏まえて安全性を確認していく」と答えた。

市民団体「丁寧な説明を」

「要対策土」の搬入は早ければ2024年9月にも始まる予定。

市民有志は団体をつくり丁寧な説明がないままこのまま計画が進めば「反対する署名活動」を行う方針だ。

リニアから自然と生活環境を守る沿線市民の会の大坪勇さんは「もし対策土がとけて出るようになれば地域住民にとっては大変な問題になりますから、(JR東海は)私ども住民の心配をきちんと解決して進めてもらいたい」と訴える。

(長野放送)

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