路線廃止で運転手余る?1日中バスの清掃業務も 千歳市の路線バスで団交 スト回避も労使間の溝深まる

労使紛争が続く北海道・千歳市のバス会社「千歳相互観光バス」で25日に団体交渉が行われ、路線バスのストライキは回避したものの、労使間の溝は深まる結果となりました。

去年4月に待遇の改善などを訴え24時間ストライキを行うなど労使紛争が続いている「千歳相互観光バス」。会社は3月に慢性的な運転手不足を理由に、運行していた4つの路線のうち2つを廃止すると千歳市に申し入れました。千歳市はこの2路線について富士交通と十勝バスに引き継ぎを依頼し、今月から運行していますが十勝バスが引き継いだ「図書館青葉線」は土日と祝日は全便運休、富士交通が引き継いだ「市民病院プール線」は13便から8便に減便するなど利用者は以前に比べて不便を強いられています。

「千歳相互観光バス」が主張する運転手不足ですが、HTBの取材で驚きの事実が明らかになりました。

組合によりますと2つの路線を廃止してから、1日あたり4人から6人ほど運転手が余っているということです。運転業務がない運転手は1日中バスの清掃業務にあたるといいます。運転手の中には運転手当が出ないため月の給与が1万8千円も下がった人もいます。他のバス会社では運転手がひっ迫している中、なぜ2つの路線を手放したのか。HTBの取材に対し、会社側は「高齢の運転手が多く、いずれは運転手不足は免れないため」とコメントしています。

25日千歳市の本社で行われた団体交渉。組合は基本給の4%(8800円)のベースアップと2つの路線を手放したことにより減った分の給与補填、「運転手不足」を原因に繰り上げていた最終便の復活を求めました。しかし会社は組合の要求について全て応じず、交渉は決裂。運転手が余っているためストライキを決行しても、会社にダメージを与えることはできないとして見送りましたが、組合は今後も状況によってはストライキも辞さないとしています。

札幌地域労組・千歳相互バス支部の江崎毅支部長は団体交渉の結果について「現在の人員でも4つの路線と最終便を復活して運行可能なダイヤを作成して、市と会社に提出したのに受け入れてもらえていない。地域住民のために少しでも利便性をよくしたい」と話しています。

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