英アングロ、BHPの買収提案拒否 「事業価値を過小評価」

Scott Murdoch Melanie Burton

[メルボルン/ロンドン 26日 ロイター] - 英資源大手アングロ・アメリカンは26日、豪同業BHPグループから提示された311億ポンド(390億ドル)の買収提案を拒否した。事業価値と将来性を大幅に過小評価していると主張した。

アングロのスチュアート・チェンバーズ会長は「BHPの提案は日和見主義的だ。当社の将来性を評価していない」とする声明文を発表。自社株主の利益にならないとの認識を示した。

ロイターは前日、アングロの経営陣はBHPによる買収提案をさほど魅力的だと考えていないとする関係者2人の話を伝えた。一部の投資家やアナリストの間でも、否定的な見方が広がっている。

BHPの提示額は1株当たり25.08ポンドで、買収提案公表前のアングロ株終値に31%のプレミアムを上乗せしていた。

買収は、アングロが保有するアングロ・アメリカン・プラチナムとクンバ・アイアン・オアの株式をアングロの株主に譲渡することが前提条件。両社とも、BHPが資産を保有していない南アで操業している。

アングロは26日、提案された買収ストラクチャーは「内在する不確実性と複雑性、そして重大な実行リスクを考えると、全く魅力的ではない」と断じた。

南アの政府報道官は、買収提案を注視していると述べた。同国は総選挙を控えているが、与党の過半数維持が厳しい情勢と伝わる中、当局者が提案内容に懸念を強める可能性がある。

市場では買収の実現には条件の引き上げが必要になるとの見方が広がっている。BHPは5月22日までに正式な買収提案を行う必要がある。

買収が実現すれば、クリーンエネルギーへの移行で重要性が高まる銅の生産で世界の約10%のシェアを握る最大手が誕生することになる。またさらなる業界再編につながる可能性が高い。

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