野村HD、1―3月期純利益は前年比7.7倍 全部門で業績拡大

Miho Uranaka

[東京 26日 ロイター] - 野村ホールディングスが26日に発表した2024年1─3月期連結純利益(米国会計基準)は、前年同期比7.7倍の568億円だった。営業部門、ホールセール部門、インベストメント・マネジメント部門の主要3部門全ての業績が伸びた。北村巧・財務統括責任者(CFO)は会見で、「足元の業績のモメンタム(勢い)が強く、日本に対する関心はここ数十年にないくらいに高まっている」と述べた。

リテール部門は、好調な株式市況や新NISA(少額投資非課税制度)の開始を背景に、安定収益であるストック収入が過去最高を更新。富裕層向けの対面営業を強化するため大規模な人員再配置を行い新体制を立ち上げたが、「想定以上のスピードで軌道に乗った」(北村CFO)という。

ホールセール部門は、グローバル・マーケッツが全ての地域で前四半期比増収となった。インベストメント・バンキングでも、比較可能な17年3月期以降で最高の四半期収益だった。

インベストメント・マネジメント部門では、21年4月の設立以降で最高の四半期の事業収益となった。運用資産残高は89兆円で、5四半期連続で過去最高を更新。1―3月期には、約1.1兆円資金が流入した。北村CFOは、運用資産残高はさらに拡大していくとし、貯蓄から投資への流れに伴い受け皿として需要が伸びるとの認識を示した。

24年3月期の連結純利益は、前期比79%増の1659億円だった。北村CFOは「下半期にかけて収益力が回復。努力が数字として実を結んだ年度だった」と評価した。

<円安加速、個人の購買力への影響注視>

外為市場では、26日夕の取引でドルが一時156円後半まで上昇するなど円安が加速している。北村CFOは円安について「物価にどの程度反映されるのか、個人の購買力や日本経済にどのような影響があるのかを引き続き注視していく必要がある」と述べた。足元の為替動向については、短期的には行き過ぎているとしたが、長期的には日米金利差の縮小により「円安は修正される方向」との見方を示した。

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