【天皇賞春/追い切り診断】最高評価「S」はテーオーロイヤルかドゥレッツァか 体調面を考慮した「パターン変更」が吉と出る

Getty Images

第169回天皇賞・春(GI、京都芝3200m)には、菊花賞馬ドゥレッツァ、ダービー馬タスティエーラの前年クラシックホース、前走・阪神大賞典を圧勝した長距離砲テーオーロイヤル、鞍上に武豊を迎えた良血馬サリエラなどが出走予定。

出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「ドゥレッツア」を取り上げる。

◆【天皇賞春2024予想/追い切り診断】辛口評価「B」に“名手鞍上”の人気馬が抵触 精神的に乗り切れない「何か」が……

■ドゥレッツア

【中間調整】昨年3歳シーズンは春に山吹賞、ホンコンJCTと自己条件で連勝。重賞には進まず、ひと息入れて菊花賞を目指すことに。酷暑で調整に難しさはあったはずだが、真夏の新潟・日本海Sで鮮やかな差し切り勝ちを収めこれで3連勝。そこから中8週で臨んだラスト一冠は重賞初挑戦がGI、かつ大外枠とあって4番人気という支持に留まっていたものの、蓋を開けてみれば果敢にハナを奪い1周目は先頭、2周目3角あたりからは先頭を譲るという大胆な戦法から、最後は楽に抜け出し2着タスティエーラに3馬身半差の快勝。4連勝でGIタイトルを奪取してみせた。

年明け初戦は京都記念が当初の目標も、菊花賞の疲労が尾を引いたようで金鯱賞にスライド。状態面は問題なかったようだが、勝ったプログノーシスに5馬身差の2着に終わっている。それでも最後の直線で外へ進路を取った際窮屈になる場面が痛かったし、そもそも2000m適性の差もあっただろう。GI馬としての底力は示せた一戦だった。

その後は予定通り天皇賞・春が目標。放牧を挟み、いったん美浦で微調整を施され4月10日に栗東入りしている。13日にCW3F38秒4-1F12秒2(馬なり)と初時計とすれば上々の時計をマークし、加速もしっかり。放牧で緩んだ感はなく、輸送も問題なかったようだ。1週前は戸崎騎手が騎乗し、CWで併せ馬。帯同馬レッドアヴァンティ(古馬2勝クラス)を外から追走する意欲的な内容だった。相手がかなり走る馬なので手応えでは若干見劣ったものの、追走差とコース差きっちり埋めての併入に持ち込んでいる。3F36秒5-1F11秒2(強め)と数字面も上々。

【最終追い切り】レース当週は確認程度。CW単走でゆったりとリラックスさせる内容に徹した。直線に入ると、鞍上のわずかな仕掛けに応えてギアを上げ、ラストは体をグンと沈めて鋭く切れた。単走とは思えない気迫十分の伸び。メリハリがあり、精神面でいかにも整っている雰囲気がある。

【見解】復帰予定の重賞がスライド。その金鯱賞は距離不足とはいえ5馬身差敗戦と盤石とはいえない状況。しかし中間は初の栗東滞在を感じさせない豪快な動きを連発しており、前走時からの上積みはかなりのレベルにありそう。菊花賞は美浦での調整で勝利を掴んだが、今回は慎重に体調面を考慮し敢えてそのパターンを変更した策は、吉と出そうだ。

明け4歳馬は苦戦傾向、またチェルヴィニア、レガレイラと本来C.ルメール騎手が騎乗予定だった馬の苦戦も続いており“逆風”が感じられる状況。それを跳ねのける走りをドゥレッツア&戸崎騎手に期待したい。

総合評価「S」

◆【天皇賞春2024予想/追い切り診断】ドゥレッツァに迫る高評価は想定“10人気”以下の穴馬 「目下最高潮のデキ」で激走警報

◆【天皇賞春2024予想/追い切り診断】辛口評価「B」に“名手鞍上”の人気馬が抵触 精神的に乗り切れない「何か」が……

著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)
【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

© 株式会社Neo Sports