菜の花で観光振興、貧困村から大変身 中国江西省

菜の花で観光振興、貧困村から大変身 中国江西省

江西省上饒市婺源県にある広大な棚田に咲く菜の花。(3月10日撮影、婺源=新華社配信)

 【新華社南昌4月26日】中国江西省上饒市婺源(ぶげん)県の篁嶺風景区ではこの春、景色を見に訪れる観光客が連日延べ2万人を超えている。1万ムー(約667ヘクタール)の棚田には黄色に輝く菜の花が遠くの山や近くの水と互いに映え合って、趣深い情景を構成している。

 同風景区の職員によると、先月8日に花見シーズンが始まって以降の来場客数はすでに延べ60万人を超えているという。

菜の花で観光振興、貧困村から大変身 中国江西省

さまざまな種類の店舗が立ち並び、多くの観光客が足を止めて遊覧する江西省上饒市婺源県篁嶺古村の天街。(3月7日撮影、婺源=新華社配信/王暁震)

 同風景区が位置する篁嶺村はかつて、土地の痩せた小さな山村で、多くの村人が山から出て暮らすことを考えていた。しかし観光開発が村に転機をもたらし、十数年前に「古い村から新しい村に、古い家から新しい家に置き換える」方式で自然資源を保護しながらの開発をスタート。村民は山の麓の新しい住宅へ引っ越すとともに、村の土地全体については「招・拍・掛」(入札募集・競売・公示)形式によって企業に観光開発と管理を委託した。数年を経て、同村は貧困村から一躍全国的な農村観光の重点村へと成長し、村民1人当たりの年収は観光開発前の3500元(1元=約21円)から5万元以上に増えた。

菜の花で観光振興、貧困村から大変身 中国江西省

江西省上饒市婺源県篁嶺古村の様子。(2023年10月15日撮影、婺源=新華社配信)

 農村観光の発展に伴い、地元では花をテーマにした文化と観光の融合に取り組み、多くの観光客を呼び込むと同時に農村振興に貢献している。

 半年前に同風景区の軽食スタンドの一員となった黄桃花(こう・とうか)さん(58)は、サツマイモやもち米、ゴマをこね合わせた紅薯粿を蒸し上げて甘い香りを漂わせるとともに、スライスしたものを油が入った鍋で揚げて、蒸したものとは異なる味わいに仕立てている。こうしたふるさとの味の軽食が、観光客の間で大人気となっている。

菜の花で観光振興、貧困村から大変身 中国江西省

各地からの観光客を魅了する江西省上饒市婺源県の菜の花。(3月7日撮影、婺源=新華社配信/王暁震)

 同風景区ではここ数年、地元出身者が戻ってくるだけでなく、他地域からの「創客」(メイカー、起業家)も数多く呼び込んでいる。同風景区の天街で軽食店を営む「翻餅(ファンビン)兄さん」の王廷飛(おう・ていひ)さんは、2019年に風景区から招きを受け、浙江省衢州(くしゅう)市からやって来て店を開いたそうで、「婺源県の文化や自然の景色は非常に美しく、天街にはたくさんの観光客が来ます。ここではなかなかの収入が得られる上、生活も非常に快適です。いい時には1日に数千個も売れます」と語った。

 500メートル近い天街の古い路地の両側には茶屋、居酒屋、演芸場、すずりを扱う店など伝統的な徽式建築の店舗が林立しており、昔の趣を残している。(記者/陳毓珊、彭菁)

© 新華社