ユーロ圏の銀行融資低迷、インフレ期待低下 利下げの論拠強まる

[フランクフルト 26日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が26日発表したユーロ圏の3月の企業・家計向け融資は引き続き低い伸びとなった。高金利と景気低迷により銀行と借り手の意欲が低下したとみられる。

消費者のインフレ期待も低下しており、ECBが6月に利下げを開始する論拠が強まった可能性が高い。

INGのユーロ圏担当シニアエコノミスト、バート・コリジン氏は「今日の統計は慎重な利下げ開始に沿うものだ」と述べた。

3月の企業向け融資は前月比0.4%増加した。2月は0.3%増だった。家計向け融資は0.2%増と、前月の0.3%から減速し10年ぶりの低水準となった。

ECBが26日発表した3月の調査によると、ユーロ圏の消費者の今後1年間の予想インフレ率は3.0%で、前月の3.1%から小幅に低下した。2021年12月以来の低水準。利上げの効果が出ていることが浮き彫りになった。

ECB理事会メンバーのパネッタ・イタリア中銀総裁は25日、「今後は金融政策が過度に引き締められるリスクを検討する必要がある」とし「金融引き締め姿勢はヒステリシス効果を生み出し、経済の低迷が長期化するリスクを高める可能性がある」とした。

一方マネーサプライM3は回復が続き、3月の前年比伸び率は0.9%と昨年5月以来の高い伸びとなった。

最近の一部の指標には景気が安定に向かう兆しが見られる。

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