「車両に防犯カメラ」設置率は38% 安心安全とプライバシー保護、両立は可能?

痴漢や盗撮などの犯罪抑止につなげようと、福岡市地下鉄の車内にリアルタイムで確認できる防犯カメラが設置され、26日から運用がはじまりました。地下鉄にリアルタイムの防犯カメラが設置されるのは全国初の試みです。

26日運用開始した福岡市地下鉄では

防犯カメラが設置されたのは福岡市地下鉄七隈線の4両1編成と空港・箱崎線の6両1編成です。

RKB 江里口雄介記者「防犯カメラが設置された車両です。どこにあるのかと言いますと…扉の上に設置されています。」

七隈線には1両あたり2台、空港・箱崎線には4台のカメラが設置され、交通局の運輸指令所にリアルタイムで映像が送られます。

利用者「犯罪の防止には役立つかなと思います。」
「満員の時とか女性にとっては安心かなと思います。」
「プライバシーの面では気になる部分はあるんですけど、子供と乗るとなったら安心して乗れることが重要なので、私はいいかなとは思います。」

車両内で発生した被害

福岡市交通局によりますと、昨年度、福岡市地下鉄では45件の犯罪被害が警察に届けられています。

内訳は、盗撮が19件、暴行が8件、痴漢と盗難がそれぞれ5件、器物損壊2件、露出1件、その他5件となっています。

福岡市交通局 稲田剛 安全推進課長「車内でどういうことが起きているのか素早く情報を把握して、駅や警察との連携が大事だと思っております。必要な職員のみが確認をすることでプライバシー、個人情報保護の観点からしっかりとルールを守って運用を続けているので、お客様は安心して地下鉄に乗車していただければと思っています。」

設置義務化きっかけは無差別殺傷事件

地下鉄や列車への防犯カメラの設置については、2021年に小田急線や京王線で無差別殺傷事件が発生したことを受け、その必要性が議論されるようになりました。

2023年に、国土交通省は平均乗車率が1日1キロあたり10万人以上の区間を走行する新車両には防犯カメラの設置を義務付けました。

全国の設置状況は

国土交通省の調査(2022年)では、防犯カメラの設置率は全国で約38%。全国約5万2500両のうち、2万両に設置されています。

そのうち録画機能のみが約70%で、リアルタイムで共有できるものは約30%となっています。JR西日本の山陽新幹線、JR九州の九州新幹線、西九州新幹線にはリアルタイムで共有できる防犯カメラが100%設置されています。

しかし、JR九州の在来線は特急の一部に防犯カメラは設置されていますが、録画式だということです。

また、西鉄は所有する282両のうち、121両に防犯カメラを設置。そのうち27両がリアルタイムで確認できるということです。

福岡市 全車両への設置めざす

福岡市地下鉄はきょうからリアルタイム防犯カメラを空港・箱崎線と七隈線のそれぞれ1編成で運用を開始しました。地下鉄でリアルタイム防犯カメラが設置されたのは全国初ということです。

防犯カメラの設置には1編成につき七隈線で約400万円、空港・箱崎線で約1100万円かかりますが、福岡市は2027年度までに全車両に導入する予定です。

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