平均340ヤード越えに「エグイっす」 日本の若き飛ばし屋が見た世界最高峰の飛距離

長野泰雅はトータル2アンダー・暫定12位タイで2日目を終えた(撮影:米山聡明)

<ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント! 2日日◇26日◇太平洋クラブ 御殿場コース(静岡県)◇7262ヤード・パー70>

DPワールド(欧州)ツアーと共催の今大会には約100人の欧州勢が出場している。日本だけでは出会えない“規格外”の選手も少なくない。20歳の長野泰雅は予選2日間で世界最高峰の飛距離を肌で感じることとなった。

高校3年の11月にプロ転向した長野は、ツアー1年目の2022年、出場10試合で賞金ランキング30位に入り初シードを獲得。昨季は未勝利に終わり同37位としたが、初優勝が待たれるホープである。身長170センチの長野の持ち味の一つが飛距離。昨季のドライビングディスタンス(DD)は299.47ヤードで15位だ。

日本では飛ばし屋の部類に入るが「2人の飛距離はエグイっす。毎回置いていかれました」と同組の欧州勢の飛距離に目を丸くした。長野を驚かせたのは欧州ツアー通算5勝のロス・フィッシャーと昨季の欧州チャレンジツアー年間王者のマルコ・ペンジ(ともにイングランド)の2人。

フィッシャーは、2009年に世界ランキング17位になったことのある43歳のベテランだが、今季のDDは319.63ヤードで18位と飛距離は健在。ペンジは今季のDD340.13ヤードで2位。22年は欧州チャレンジツアーのDDで1位に入り、その飛距離は341.67ヤードと欧州屈指の飛ばし屋である。

「(ペンジが)2位だったんですね。エグかったですよ。僕のボールをキャリーで越えて30ヤードは置いていかれますし、こすり球でも僕より飛んでいましたから、ショックです(笑)。いままで回ったなかで一番飛ぶ選手です」と長野史上、最長飛距離の男と出くわしたことになる。

ただ飛距離で負けてもスコアでは勝った。「ほぼセカンドオナーでしたが、3打目は最後に打つことが多かったです。アイアンは僕のほうがうまかったです」。長野は第1ラウンド「66」、第2ラウンド「68」と並べ、首位と4打差のトータル6アンダー・暫定12位タイで決勝ラウンドに進出。2人は予選で姿を消した。

世界の飛距離を見てあることを決意した。「いままでは上半身を大きくするトレーニングをやっていませんでしたが、優勝したらやります。もっと飛ばしたい」。これまでは下半身を中心に強化し、スイングの感覚がズレないように上半身のウェイトトレーニングは避けてきたが、世界を見据えると上半身の強化も視野に入れる。

この2日間は日欧共催大会ならではの貴重な経験をしている。優勝して複数年のシード権を確保し、肉体改造をしてスケールアップを目指す。「今週は調子がいい」と勢いに乗って残り2日間も世界と戦う。

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