「チャレンジャーなんだから」 木戸愛がジャンボの言葉で取り戻した“積極性”

今週は尾崎智春キャディ(左)と初タッグ(撮影/今井暖)

◇国内女子◇パナソニックオープンレディース 初日(26日)◇浜野GC(千葉)◇6669yd(パー72)◇晴れ(観衆1904人)

最初は、いつもの明るい笑顔で受け答えしていた。しかし、「今シーズンはすごく強い思いで臨んでいらっしゃると思いますが、いかがですか?」――。その質問を聞いた木戸愛は10秒間ほど口をつぐんだ後、震える声で「強い気持ちで、頑張ります」と答えた。

昨年12月11日、元プロレスラーの父・修さんが73歳で亡くなった。その3日後、木戸は自身のインスタグラムで「とても優しく、強く、かっこいい、大好きな父でした。本当に逢いたいです。毎日、一生想い続けて生きていきます。父に逢いに行く日まで、ゴルフも人生も最後の最後まで一生懸命頑張ります」と思いをつづった。今年は、天国の父とともに戦う最初のシーズンでもある。

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2012年にツアー初優勝を挙げたが、19年に8年間守ったシードを喪失。再起をかけて臨んでいる今季だが、今週は以前から知り合いだったという尾崎将司の長男・尾崎智春キャディとタッグを組んだ。シーズン開幕前には千葉県内にある“ジャンボ邸”を訪れ、ゴルフ界のレジェンドと初対面した。

ジャンボの教えを胸に刻む(撮影/今井暖)

開幕後も毎週のように指導を受ける中で、ジャンボから言われた言葉は「積極的に。チャレンジャーなんだから」。忘れかけていた自身の武器、“思い切りの良さ”を改めて意識した。「今はしっかり(ボールの)前で振ることを素振りから意識して練習している。良い方向に向かっています」と手応えを語る。

この日は、その積極性が奏功した。スタートの10番で4mを沈めてバーディで滑り出すと、12番では112ydの2打目をPWで1mにつけた。14番(パー3)からは3m、5.5mのバーディパットを決めると、後半も4番(パー3)、7番でバーディ。最終9番(パー5)は智春キャディの「いけるよ」という言葉を信じ、3Uを振り抜いて2オン。2mのイーグルパットを流し込んだ。

史上最長のブランクVがかかる(撮影/今井暖)

1イーグル6バーディ、ノーボギーの「64」はツアーでの自己ベストタイ。「ショットもパットもいいリズムで回れた。100点満点です」と充実した表情で振り返った。2012年「サマンサタバサレディス」以来、11年281日ぶりのツアー最長ブランクVへ「残り2日も積極的なプレーをしたい」と力を込めた。(千葉県市原市/内山孝志朗)

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