スノーモービルで書類送検 津軽地方の10人

環境省が作成したスノーモービルなどの乗り入れ規制区域を示す看板(同省提供)

 青森県十和田市の十和田八幡平国立公園の特別保護地区内でスノーモービル(小型雪上車)を無許可で走らせたとして、青森署、黒石署、県警生活保安課は26日、津軽地方に住む40~63歳の男10人を自然公園法違反の疑いで青森地検に書類送検した。いずれも容疑を認め、「レジャー目的だった」「乗り入れ禁止の場所だと分かっていた」旨の供述をしているという。国立公園へのスノーモービルの乗り入れによる摘発は県内初。

 書類送検されたのは弘前市の4人、黒石市の5人、つがる市の1人。書類送検容疑は昨年3月5日、共謀し、国の許可を受けず、同市奥瀬黄瀬山、十和田八幡平国立公園の特別保護地区内でスノーモービルを走らせた疑い。うち3人は、今年2月14日にも同地区内で同様の行為をした疑い。平川市の善光寺平地区からスノーモービルに乗って特別保護地区に進入し、南八甲田の櫛ケ峰に向かうエリアを走行していた。

 10人の職業は会社員や農業、大工などでスノーモービルを通して集まった愛好家グループ。県警生活保安課によると、複数人が「複数回乗り入れた」と供述。「岩木山でもやった」とも話しているという。

 県や県警によると、男らは動画投稿サイトやインスタグラムに、スノーモービルを運転し、新雪の上を走行する動画を多数公開していた。今年に入り「八甲田の辺りでスノーモービルの乗り入れがあり、その様子をSNS(交流サイト)に投稿している人がいる」と県から情報提供を受けた県警が捜査に着手。投稿動画などを基に、現場や人物を特定した。

 特別保護地区は国立公園内で特に優れた自然景観を有する地区。自然公園法でスノーモービルなど車両の乗り入れは原則禁止されている。乗り入れには環境大臣の許可が必要だが、環境省十和田八幡平国立公園管理事務所によると「公益性が認められない限り許可はできない。個人でのレジャー目的では認められない」という。

 同公園では北八甲田でもスノーモービルの無許可乗り入れが問題となっている。昨冬も巡視ボランティアがスノーモービルの走行痕や走行音を確認しているという。同事務所の新田一仁国立公園保護管理企画官は「スノーモービルの乗り入れは野生動植物に影響を及ぼす」と警鐘を鳴らしている。

 書類送検を受け、同事務所や県、県警などは5月1日、県庁で再発防止に向けた会議を開く。

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