「ここだけは頼むぞ」旅人・川村昌弘が“年イチ”の日本出場で渾身プレー

日本人の初優勝が続いている欧州ツアーでのパイオニア的存在(撮影/今井暖)

◇国内&欧州男子ツアー共催◇ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント! 2日目(26日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262yd(パー70)

例年世界中を飛び回ってシーズン25試合ほど出場するスケジュールを組む中で、川村昌弘にとっても今週は譲れない思いがあるという。年に一度しかない母国でのトーナメント。「日本で応援してくれている人たちの中では渾身(こんしん)の1試合。自分も祈る気持ちで『ここだけは頼むぞ』という感じです」と笑いながら、気合がにじむ。

「予選落ちしたら、ガッカリする人もいるだろうなとヒシヒシ感じながら…」。初の日欧ツアー共催だった前年大会は予選落ちした。この日は朝に持ち越した第1ラウンド18番(パー5)で5Wをピタリと絡めたイーグルを奪い、第2ラウンド9番で「ずっと当たっていなかったアイアンがビシッと当たってついた」バーディ。いずれも最終ホールで見せ場を作るあたり、しっかりと期待に応えてみせた。

御殿場でのツアー出場は2017年以来(撮影/今井暖)

2019年からDPワールドツアー(欧州ツアー)のシードを確保し続け、太平洋クラブ御殿場コースでプレーするのも2017年「三井住友VISA太平洋マスターズ」以来のこと。18年の改修でパー5からパー4になった6番は初めてだったが、手前の池が絡む右サイドのピンを攻め込まず、広い左サイドに乗せて2パットのパーで乗り切った。「“いいパー4”だなと思いました。距離的にも(セカンドで)ロングアイアンを打つわけではないですし。前半のあの辺にピリッとするホールがあって、いいアクセント的な感じです」

日本ツアーの選手に欧州ツアーのピン位置が刺激的なように、川村がコースセッティングに向ける目線からはやはり海外でもまれたプレーヤーの貫録がにじむ。「最悪を避けた時、反対側の許容範囲がめちゃくちゃある。その辺は少し優しく感じます」。グリーンを外した時、パーパットを打てない状況に陥りにくいことが大きいという。

独特のスイングで我が道を行く30歳(撮影/今井暖)

外してはけないエリアに外せば、ダブルボギーやトリプルボギーを覚悟しなければならないのが主戦場の日常風景。今週は「バンカーとかニアサイドに外しても、ナイスショットが出れば寄る。“奇跡の一撃”がなくても3、4m のパーパットは打てるのかな」と見ている。凡ミスがボギーを生む分、スコアを落とした時のメンタルコントロールがポイントになると話す。

日没順延時点でトップと4打差、通算6アンダー暫定12位で週末を迎える。「何も良くなかったけど、メチャクチャ悪いものもなかった。最後だけビタッとついて獲れたので『終わり良ければ…』的な感じでつなげられたらいいな」。昨年の久常涼に始まり、今年の星野陸也、中島啓太と続く初優勝の流れ。日本における欧州ツアーのパイオニアも、いつ勝ってもおかしくない存在だ。(静岡県御殿場市/亀山泰宏)

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