10月から「児童手当」が増額になると聞きました。わが家は「5歳・3歳・1歳」の子どもがいますが、総額でいくら増えますか?「第3子」からは多くもらえるんですよね?

児童手当とは

児童手当とは、子育て世帯の生活の安定、次世代の社会を担う子どもの健やかな成長に資することを目的とした手当です。

急速な少子高齢化を食い止めるために、2023年12月に閣議決定された「こども未来戦略」において、2024年10月から児童手当を拡充する方針が盛り込まれました。現在予定されている改正ポイントは以下の点です。

__●支給対象を高校生までに引き上げ
●第3子以降を3万円に増額
●所得制限の撤廃
●支給回数を年3回から6回へ増加__

支給対象を高校生までに引き上げ

支給対象は中学生までとなっていましたが、今回の改正で高校生まで引き上げられ、手当を受け取る期間が、子ども1人あたり3年延長されます。

第3子以降を3万円に増額

これまで第3子以降、小学生までは月額1万5000円、中学生は月額1万円の支給でしたが、改正後は高校生までの全期間、月額3万円の支給となります。

所得制限の撤廃

現在の、年収ベースで960万円未満(960万円以上~1200万円未満は特例給付)という所得制限は、今回の改正によって撤廃され、年収の金額に関わらず児童手当を受け取ることができるようになります。

支給回数を年3回から6回へ増加

これまで2月、6月、10月の年3回、各前月までの4ヶ月分がまとめて支給されていましたが、偶数月の年6回に分割して支給されることになります。改正後の内容での初回支給は2024年12月となる予定です。

今回のケースで増額される手当額は約460万円

2024年10月の改正によって、具体的に児童手当の額はどの程度増えるのでしょうか。今回の5歳、3歳、1歳の子どもを持つ家庭のケースでシミュレーションしてみましょう(図表1)。

図表1

※現在を2024年とし、改正後の2024年は4~9月を改正前、10~3月を改正後として試算
こども家庭庁 令和6年度こども家庭庁予算案のポイントより筆者作成

計算の結果、今回の子どもが3人いる家庭のケースでは、受け取れる児童手当の額は改正前から後で、約460万円増額することがわかりました。子ども1人あたりでは約150万円の増額です。

子育て費用は一般的に1人あたり約3000万円かかるといわれています。今回の増額分(約150万円)は1人あたりの子育て費用の約5%分に相当します。割合で見ると小さく感じるかもしれませんが、約150万円増というのはありがたい改正内容ではないでしょうか。

注意点

改正によって手当の支給総額は増えますが、以下の2点については注意が必要です。

上の子の年齢によっては第3子が第2子に繰り上がる

ここまで説明した通り、児童手当は子の人数によって金額が増える多子加算という考え方を採用しています。

改正後の、子の人数を決めるカウント方法は、大学生であるかに関わらず親の経済的負担がある場合において22歳年度末までの子どもは子としてカウント対象となりますが、それを超えるとカウントから外れます。その結果、状況によっては第3子が第2子に繰り上がることがあり、金額もそれに応じて変更されます。

高校生の扶養控除の減額が検討されている

児童手当の支給対象を高校生まで引き上げることに併せて、16~18歳の子どもに適用される扶養控除が、2026年度から縮小されることが検討されています。

具体的には、所得税の控除額は38万円から25万円に、住民税の控除額は33万円から12万円にそれぞれ減額される見込みです。仮に所得税率20%、住民税率10%で計算すると、所得税で2万6000円、住民税で2万1000円、合計4万7000円税負担が増えることとなります。

いずれの所得額の世帯においても、支給される児童手当12万円と控除縮小の影響を差し引きすると、児童手当の支給増加が上回ることとなりますが、12万円満額で手取りが増えるわけではないことには注意が必要でしょう。

まとめ

2024年10月に予定されている児童手当改正によって、子どもの人数や年齢によって差はありますが、手当総額は増額される見込みです。第3子が第2子へ繰り上げとなることや、扶養控除の減額に注意して、自身の場合、どの程度増額されるかをしっかりと把握し、子育て費用を準備しましょう。

出典

こども家庭庁 令和6年度こども家庭庁予算案のポイント
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
内閣府 平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査 全体版(PDF)
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査の結果について

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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