<ライブレポート>ChroNoiRが念願のワンマンライブ、二人の絆で大阪城ホールを魅了

VTuberグループ“にじさんじ”に所属する叶と葛葉によるユニット、ChroNoiRが初のワンマンライブ【Welcome to Wonder Wander World】を4月20日に大阪・大阪城ホールで開催した。

開演時刻に近づき、会場が暗転すると、客席から悲鳴のような歓声が上がり、青と赤のペンライトの光が会場を一気に染める。幻想的なオープニング映像の終盤に登場し、紳士的な一礼をした叶と葛葉は、ステージに映されているドアを開け、オーディエンスをChroNoiRの世界に誘う。幕開けに彼らが選んだのは「Wanderers」。二人が高音も低音も自由自在に変換し、圧巻の歌唱力で魅せる最高のオープニングとなった。

「俺たちと一緒に最高の時間を過ごしましょう!」と呼びかけて始まったのはラップパートが印象的な「Stereochrome」。その狂気を纏ったようなパフォーマンスは代表曲の「ブラッディ・グルービー」へと続き、二人による息ぴったりのダンスで会場の熱気が高まっていく。

MCでは、結成時から念願のワンマンライブが実現できたことに感謝の意を表しつつ、叶が「ここまで一番緊張してなかった?」と尋ねると、葛葉は「そりゃするよ! てか言うなよ! 言われたらもっと緊張すんだから、いくら人を書いたって足りない、この人数は飲みきれない」と冗談まじりながら答えた。微笑ましいMCの終盤では二人がタオルを手にして「カオティックライバー」へ。振り付けに合わせて、客席もタオルやペンライトなどを回し、一体感を見せた。

続いてはハードロック風の「LET IT BURN」。「会場のお前らも配信を見てるお前らも、かかってこいや!」という葛葉の煽りが響かせた歓声に秘めた熱量は、ステージで演出されたファイヤーボールより熱く感じる。「奇祭狂祭」が始まると、旗を使った振り付けのもとで「ヱヰヱヰヤアヤア」の合唱や「オイ―オイー」のコールが、より一層会場を沸かせた。

ステージが暗転してSF的なセットに切り替え、二人はなんとドリフトしてきたジープから飛び降りて登場し、メガホンをマイクの代わりに「ロデオ」を熱唱。同曲は、2019年に開催され、ChroNoiRにとって初ライブとなった【にじさんじ Music Festival ~Powered by DMM music~】で披露された楽曲だ。この4年半で彼らの成長を見届けてきたファンにとって、感極まる一幕となっただろう。ジープに乗り込み姿を消した二人は、今回はマシンガンとライフルを手にしてステージにポップアップ登場、バトルロワイアルを想起させるパフォーマンスで「Not For You」を披露した。

さらにサプライズとなったのは、シークレットゲストの笹木咲、壱百満天原サロメ、星川サラの3人を迎えた「Buddy&Wilderness」だ。ステージ上に5人の姿が現れると、会場のボルテージも最高潮に達した。

MCでゲストの3人がChroNoiRの二人にツッコんだり、開催地の大阪にちなんで関西ネタを話したりして、観客も大喜び。さらに、ChroNoiRの二人がアーティスト衣装に着替えて、それぞれのソロ曲「K/D Dance Hall」と「Black Crack」を一緒に歌唱し、ChroNoiRの絆を見せた。

終盤に差し掛かり、舞台が変わって都会の夜景が映されている中、叶が黒、葛葉が白とイメージと真逆の衣装で色気漂う「Predawn」「VVA」を披露。続いてスタンドマイクを使った「Torpor」では、<眠る君のまぶたをめくって/その眼球にキスをしたいだけ/僕らの国に時計はいらない/ねえ起きて!/まだ君と遊びたいよ>と歌詞のようにいたずらっぽくセクシーな表情でオーディエンスを魅了して「フェイカー」へ繋がる。

あっという間に最後の曲「Twilight」に。タイトル通り薄明に似た光線と、客席に揺れている赤と青の光が、<闇に溺れたくなる日でも/君の目に映る僕の/灯りがまた僕を照らしてくれる/君だって希望だ/希望だ>と、絶望の中で希望を歌った二人を優しく照らした。

鳴り止まないアンコールに応え、二人は初期衣装でステージに戻り、ChroNoiRとして初めてカバーした「終末じゃない」を披露。MCで叶がワンマンライブを実現したChroNoiRの次の目標を考えると、客席から「ツアー!」の呼び声に対して、葛葉が「ツアーはきっちぃっす!」と素直に反応し、大笑いを引き起こした。そんな笑い声が絶えないMCも最後となり、魔法のように着替えた二人はハートフルな歌声で「Lily」を歌い、初のワンマンライブ【Welcome to Wonder Wander World】の幕を閉じた。

紙吹雪と歓声の中、二人がステージを去った後、突如会場が暗転し、カウントダウンするような時計の針の音に客席がざわめく。異国情緒が染まったギターの音と芸術的な映像がモニターに映し出され、ユニット結成6周年を迎える2024年7月17日に、新曲ミュージックビデオを公開することが発表された。ChroNoiRはこれからどのような作品を私たちに見せてくれるのか、期待しかない。

◎公演情報
【ChroNoiR One-Man Live "Welcome to Wonder Wander World"】
2024年4月20日(土)
大阪・大阪城ホール

<セットリスト>
01. Wanderers
02. Stereochrome
03. ブラッディ・グルービー
04. カオティックライバー
05. LET IT BURN
06. 奇祭狂祭
07. ロデオ
08. Not For You
09. Buddy&Wilderness ※シークレットゲスト:笹木咲、壱百満天原サロメ、星川サラ
10. K/D Dance Hall
11. Black Crack
12. Predawn
13. VVS
14. Torpor
15. フェイカー
16. Twilight
アンコール
17. 終末じゃない
18. Lily

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