「国スポ」に中国5県知事から見直し論 財政負担の重さ訴え 廃止には慎重意見も

湯崎英彦知事

 都道府県の持ち回りで開かれる国民スポーツ大会(旧国民体育大会)を巡り、全国の知事から在り方の見直しを求める発言が相次いでいる。中国地方でも島根県と鳥取県が財政負担の重さを理由に廃止に言及。他の3県も負担軽減への議論の必要性を訴える。山口県は選手にとっては「重要な場」として存続を前提にした議論を求めている。

 「血の小便を出してなんとかやれる。大変な思いをしてやっている」。2030年の2巡目の開催へ向けて準備する島根県の丸山達也知事は12日の記者会見で事業費260億円超と想定される財政負担の重さに不満をあらわにした。改善されなければ3巡目は「廃止するべきだ」と訴えた。

 33年に開催を予定する鳥取県の平井伸治知事も事業費が何百億円単位になるとした上で、国体から国スポに変わり競技数が増えたことにも「疑問を持っている」と指摘。「今のまま3巡目ならば廃止した方がいいのでは」と述べた。

 国体は戦後復興期の1946年、スポーツを通じて国民に勇気と希望を与えるのを目的に始まった。今年から名称を国スポに変更した。運動施設の整備や選手、指導者の育成にも一定の役割を果たしてきた。

 47都道府県で順番に開かれており、現在の2巡目の事業費は広島(96年)95億円▽山口(11年)257億円(全国障害者スポーツ大会の費用を含む)▽岡山(05年)263億円―だった。35年からは3巡目に入る。

 事業費の多くを都道府県費で負担しており、広島県の湯崎英彦知事は「開催の是非も含めて検討するのは適切」と指摘。岡山県の伊原木隆太知事も「このままの方式では厳しいのではないか」と語った。

 一方、廃止には慎重な意見もある。山口県の村岡嗣政知事は25日の記者会見で「アスリートには活躍や成長の場。持続可能な仕組みづくりの議論が大切だ」と述べた。

 国スポを巡っては、全国知事会長で宮城県の村井嘉浩知事が8日に「廃止も一つの考え方だ」と発言。知事会は都道府県アンケートの結果を踏まえて提言をまとめ、主催団体の一つの日本スポーツ協会と協議する考えでいる。

© 株式会社中国新聞社