衆院3補選、28日投開票 「保守王国」で与野党総力戦 政権命運を握る、島根1区

(右から届け出順)錦織功政氏、亀井亜紀子氏=いずれも松江市内

 衆院3補選が28日、投開票される。唯一の与野党対決となった島根1区は、自民党新人で元中国財務局長の錦織功政候補(55)=公明党推薦=と立憲民主党元職で党県連代表の亀井亜紀子候補(58)の2人が立候補。自民派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた「政治とカネ」の問題が最大の争点となる中、両党とも党幹部や知名度の高い国会議員らを投入し、総力戦を展開している。

 島根1区は細田博之前衆院議長の死去に伴う。島根は1996年の小選挙区制導入以降、2021年衆院選まで全国で唯一、県内全小選挙区の議席を自民が独占した「保守王国」。3補選で自民は東京15区、長崎3区での候補を立てず、島根1区は岸田政権の命運を懸けた戦いとして全国から注目を集めている。

 自民の錦織候補は連立政権を組む公明のほか、約160団体から推薦を得た。告示後、約100カ所で街頭に立ち、裏金事件を踏まえて先頭に立って政治改革を進めると主張。賃上げやインフラ整備、中山間地域・離島振興などに力を入れ、約30年の国での行政経験を生かし、島根と国とのつなぎ役になると訴える。

 党本部主導で選挙戦を展開し、小渕優子選挙対策委員長が選挙区に張り付く。党幹部や国会議員も次々島根入りして企業や業界団体を回り、支持固めを進める。最終日の27日は安来、松江両市を回り、午後6時半から松江市中原町の松江しんじ湖温泉駅前で最後の訴えに臨む。

 立民の亀井候補は連合島根の推薦や候補者を取り下げた共産党の自主支援、国民民主党の県連レベルの支援を受ける。告示後、少なくとも約100カ所で街頭に立ち、裏金事件を批判。企業・団体献金の禁止といった政治改革や、衆参10年の国会議員の経験を生かし、労働環境改善や農林水産業振興などに取り組むと訴える。

 浮動票獲得に向け、岡田克也幹事長ら党幹部が次々と選挙区入りし、国会議員も企業や業界団体を回る。亀井候補の父・久興氏も支援者を訪ね、保守票の取り込みを図る。最終日の27日は松江市を回り、午後6時20分から同市殿町の県庁前で最後のマイクを握る。

 15日現在の島根1区の選挙人名簿登録者数は26万1528人(男12万4955人、女13万6573人)。

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