北村匠海が朝ドラ「あんぱん」で「アンパンマン」生みの親に。「人生で初めて格好いいと思ったのがしょくぱんまん」

NHK総合ほかで、2025年度前期に放送される連続テレビ小説「あんぱん」(日時未定)のヒロイン・朝田のぶ(今田美桜)の夫・柳井嵩(やないたかし)役の発表会見が行われ、北村匠海が演じることが明らかになった。北村が、今田、制作統括の倉崎憲氏と共に登壇し、意気込みなどを語った。

“朝ドラ”第112作となる「あんぱん」は、アンパンマンを生み出した漫画家・やなせたかしさんと小松暢さんの夫婦をモデルとした物語。やなせさんが「アンパンマンのマーチ」の歌詞を生み出した背景には、戦前・戦中・戦後と激動の時代を、ちょっと気が弱くて自信のない彼と共に生き、けん引し続けた“ハチキンおのぶ”こと暢さんの存在があった。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現したアンパンマンにたどり着くまでを描き、生きる喜びが全身から湧いてくるような愛と勇気を届ける。

やなせさんをモデルにした柳井を演じる北村は、1997年生まれで東京都出身。4人組バンド・DISH//のメンバーでもある。映画「君の膵臓をたべたい」(2017年)で第41回日本アカデミー賞新人杯優勝を受賞し、主な出演作にドラマ「仰げば尊し」「アンチヒーロー」(TBS系)、映画「明け方の若者たち」(21年)、「東京リベンジャーズ」シリーズ(21・23年)などがある。連続テレビ小説は今回が初出演となる。

今田による「たかしさ~ん」の呼び声で登場し、「長い間緊張していました」と吐露した北村。続けて「バンド活動のMCでの僕の言葉がきっかけで選んでいただいたと聞いたのが印象的で。自分の中に持っていた思いや感情が、役や作品、そして今田さんとも出会わせてくれたんだと思っています」と、役が決まった時のことを振り返った。

倉崎氏も「ライブを見に行かせていただいた時に、歌だけではなく、MCで観客一人一人に語りかける言葉一つ一つを聞いて、北村さん自身が、『今という瞬間をどう生きるかを体現し、伝えている人』だと思いました。哲学的な部分も含めて、やなせさんとリンクする部分を感じて、お声がけさせていただきました」と起用の理由を語った。

「東京リベンジャーズ」シリーズなど、北村と何度も共演経験のある今田は、「本当にホッとして、何も心配することはない」と信頼感をうかがわせ、「ほがらかな部分もありつつ、すごく真っすぐで、秘めている強さみたいなものが感じられる方なので、それが役の人柄にどんどんあふれていくお芝居を見ることができると思うと、撮影が楽しみです。素直にうれしかったです。柔らかく温かく歩んできたお二人の人生を丁寧に描いていけたら」と期待を寄せた。

やなせさんの印象を問われ、北村は「アンパンマンは水に濡れると、誰かの手を借りて顔を取り替えてもらわないといけなくて。それでも自分の一部分を誰かに分け与える優しさが、アンパンマンを常に前に進めていると思うんです。それって、自分が弱いことを分かっていないとできないことで。カバおくんやみんなに手を差し伸べる優しさが、アンパンマンなんだと思います。そんな作品を描いているやなせさんはアンパンマンだったんだなという思いが、僕の中にあって。だから、人としての弱さや強さを、役と一緒に日々歩んでいく中で、敏感にキャッチして伝えていければと思います。“こういう人だよね”という一面だけではなくて、誰しもいろんな面があるので、いいところや悪いところもあるというのを全方面描くために、細かく細かくやっていければと思います」と撮影への意欲を見せた。

さらに、「アンパンマン」にまつわる思い出について尋ねられると、「保育園になかなかなじめない瞬間があって、その時はアンパンマンに助けてもらった記憶があります」と明かし、「僕が好きなのはアンパンマンなんですけど、ジャムおじさんもすごく好きでした。『あんなおじさんいたらなあ』と思っていました。しょくぱんまんへの憧れもすごくあって、人生で初めて格好いいと思ったのがしょくぱんまんかもしれないです。カレーパンマンは友達だと思っていたような感覚もありました」と止まらない作品への愛を述べた。

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