男女の賃金格差 富山県の現状と背景は

政府は24日、男女間の賃金格差の縮小を目指すプロジェクトチームの初会合を開きました。富山県内でフルタイムで働く人の賃金の平均は、男性を100とした場合、女性は76.8にとどまります。 男女の賃金格差の現状を取材しました。

「男女でこんなに差が、こんなに大きな会社でこうだから、世の中の中小企業はもっとなんだろうなと思って、すごく衝撃を覚えた記憶がある。(差は)2倍以上ですかね」県内に住む60代の女性は、20年ほど前、大手企業に派遣され、男女の賃金に2倍以上の開きがあることを知り衝撃を受けました。「女性はある年齢に来ると頭打ち、一定の給料で止まってしまい、男性は昇給しているのを見て、こんな大きな会社でもそうなんだと思って」

厚生労働省の調査では、去年、フルタイムで働く男性の賃金は、月額の全国平均が35万900円だったのに対し、女性は26万2600円で9万円近い差があります。

男女間における格差は縮小傾向にありますが、去年は男性を100とした場合、女性は74.8にとどまります。

年代別にみると、男性は年齢とともに賃金が上がるのに対して、女性はほとんど上昇しません。

厚生労働省の分析では、女性に管理職が少ないことが最大の要因で、次いで勤続年数、労働時間などが影響しているとしています。

同じ役職であってもすべての階級で、女性の賃金は男性を下回っています。

こうした格差を是正しようと、厚生労働省はおととし7月、従業員301人以上の企業に対し、男女間の賃金格差を公表するよう義務付けました。

県内の、従業員の多い上場企業の有価証券報告書を一例としてみてみると、正社員の場合、男性を100とした場合の女性の賃金は、三協立山は70.7です。これは、女性管理職の割合が1.9%となっているためで、制度に性別による処遇差はないとしています。

北陸電力は64.3で、女性の採用強化で勤続年数が相対的に短く、勤務地限定の女性従業員が多いためとしています。

富山県全体の男女間格差は、厚生労働省のデータでは、男性100に対し女性は76.8と、全国平均を上回っています。しかし、富山県が異なる手法で毎年独自に行う調査では、60台で低く推移しています。こうした数値は何を意味するのかー。

白河桃子 相模女子大学大学院特任教授

「その企業が性別によってどのくらい大きく差別しているか、という大きな指標。当の女性自身もこれは仕方のないことだと思っているかもしれないが、本来は1対1をめざすべきもの。性別によって賃金に隔たりがあってはいけないと」

富山県の調査では、大学卒業の女性の賃金が高校卒業の男性より低く、学歴よりも性別の影響を大きく受けていることがうかがえます。

「悔しいと思うじゃないですか。毎日毎日悔しいんですよ、いまだに」県内で働く50代の女性です。専門的職場で経験を積んで働いていましたが、ある異動をきっかけに前の会社を辞めました。「同じチームを組む担当の男の子が入ってきて、初めて就いたところなので全く何もできない、わたしがずっといろいろ教えてあげていた」

しかし、その男性の役職が上になりました。「学歴は(自分は)短大卒。彼は4大卒。でも年齢は10くらい違う。キャリアも経験も私の方が上なんですが、1年で知識も経験もないのに私を飛び越していった。すごくそれが悔しくて」

転職した今の会社でも実力のある女性が辞めていくと指摘します。「全然給料が上がらないし、仕事も男性のサポート、アシスタントしかさせてもらえない、と思うと子どもも小さいし、と辞めちゃった人もいる、もったいないなとすごく思う」

白河さんは、賃金の格差に警鐘を鳴らします。「子育て政策だけでなく、女性がしっかり仕事を得てお金もしっかり稼げて、ここにいたいと思う、女性に選ばれるような地域にならなければ、この先はどんどん人口は少なくなっていく。女性に選ばれる県をめざす、ぜひジェンダーギャップ解消を県としてもしっかり宣言してほしいと思います」

男女間の賃金格差の背景には、様々な要因があると言われていますが、公表が義務付けられたこともあって、各企業が分析をすすめています。

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