ハンドボール東江雄斗 パリ五輪への現在地

開幕まで100日を切ったパリオリンピックに、36年ぶりに自力での出場を決めたハンドボールの日本代表東江雄斗選手。逆境の中でも戦いに挑むパリへの決意を語りました。

ハンドボールの日本代表、東江雄斗30歳。去年10月、代表キャプテンとして東京大会に続く2大会連続のオリンピック出場を決めました。アジア予選を勝ち抜き、自力での五輪出場を決めたのは1988年のソウル大会以来、36年ぶりの快挙。

東江雄斗 選手
「嬉しさよりも最初にホッとしたという気持ちが最初に出てきましたけど、今までオリンピックにチャレンジしてきた先輩たちの力や支えがあったからこそ取れた、オリンピックの出場権だと思います」

リーグ戦前日。ジークスター東京の一員として、母校・興南高校で調整を行った東江。高校生たちにとっては、憧れの存在です。

興南高校 ハンドボール部 比嘉泉稀 主将
「小学校の時からハンドボールを始めてすぐ知って、ずっと背中見て、動画とかで見ていました」

興南高校 ハンドボール部 小波津周希 副主将
「チームを勝たせられるようなゲームメークであったり、時には自分でも狙っていくところを尊敬しているのでそこに近づけたらなと思います」

大学時代から日本代表に選出され、世界に挑み続ける東江も現在30歳。ここ数年はけがも多く、オリンピック予選も内転筋の肉離れなどを抱えながら出場していました。

東江雄斗 選手
「オリンピックのかかる試合じゃなければもしかしたら無理はしなかったかもしれないですけど、やっぱりあそこでけがを理由に辞めたくはなかったので、そこは、まあ、これくらいのけがなら『イケるっしょ』みたいな感じでやっていました」

家族みんながハンドボールに携わる東江家。琉球コラソンの監督を務める父・正作さんも息子の快挙達成に喜びを爆発させました。

父・東江正作 さん
「うわー、きょうは最高の日だね」

東江雄斗 選手
「あまり褒めることのない正作さんがたまにはほめてくれましたね。あんなにテンションの高い正作さんの声が聞けたのは初めてというか。いや、なんか、それを真似するのも恥ずかしいんですけど。声高らかに祝福してくれて、嬉しかったです。気づけば9年近く日本代表でやっていますし、上から3・4番目の年齢になって、もうこんな自分もベテランかと思いながらも。でもベテランはベテランでいい味が出せるなっていう楽しさもある」

下地麗子 キャスター
「コンディション的には年齢を重ねて変化は感じない?」

東江雄斗 選手
「やー。衰えは感じますね。5~6年前に比べたらジャンプ力も落ちていますし、衰えは感じるけど、その分また違ったプレーが身に付いたかなと思う」

大学卒業後、日本リーグ参戦1年目から得点王とMVPに輝き、リーグキャリアの前半は得点力が光った東江。ただ、ここ2~3年は、得点を大きく伸ばさずとも、日本代表に選出され続けています。

その理由を琉球コラソン戦で体現します。

シュートを打つと見せかけて、自身の股から後ろの選手へパス。コラソンディフェンスをひきつけ、意表を突くパスを見せると、次は県出身の期待の若手・伊禮雅太(22)のゴールを演出。

東江雄斗 選手
「昔だったら点を取ってなんぼというところがありましたけど、今は点も取りつつアシストもできるというか。相手からすると的を絞らせないようなプレーが身についているのかなと思います」

相手ディフェンスに的を絞らせない攻撃で点差を広げていきます。開幕まであと100日を切ったパリオリンピック。しかしハンドボールの日本代表は、監督が電撃交代するなど、動揺せざるを得ない事態に直面し、逆境の中での戦いとなります。

東江雄斗 選手
「いろんなニュースが飛び交う中で、明るいニュースを届けられるように、僕たちはやるしかないです。オリンピックは待ってくれないので、そこは集中してオリンピックに向けて頑張りたいと思います。選手選考も1からスタートするので、僕自身も負けないように、グループリーグ突破を目標にして、そこから決勝トーナメントにいって、メダル獲得に向けてチャレンジできたらと思います」

試合は23対26で、東江率いるジークスター東京に軍配が上がりました。

琉球コラソン監督 父・東江正作さん
「雄斗らしいプレーをやられましたね。お父さんの負けですね、きょうは。もう100日を切ったパリの空で大きく羽ばたいてほしいなと思います」

円熟味が増すプレーで、再びオリンピックの舞台へパリでの飛躍を誓います。

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