衆院長崎3区補選 自民支持層の票の行方は? 離島問題にどう取り組む…両候補者の訴えは

投票日が28日に迫った衆議院長崎3区の補欠選挙は、自民党が候補者を擁立せず、立憲民主党の前職と日本維新の会の新人の一騎打ちとなりました。離島を含む長崎3区が抱える課題に対しての両候補者の訴えをまとめました。

衆議院長崎3区の補欠選挙に立候補しているのは
▼立憲民主党比例九州ブロック・前職 山田勝彦候補(44)
▼日本維新の会・新人 井上翔一朗候補(40)です。
(届け出順)

山田勝彦候補:
「もう二度と裏金、脱税、金権政治を許さないんだ。その民意を山田勝彦と一緒に全国に示していこうではありませんか」

立憲民主党 前職の山田勝彦候補は自民党を批判し「政権交代」の必要性を訴える選挙戦を展開。政策として、防衛増税の廃止や子ども予算の倍増などを掲げています。

井上翔一朗候補:
「日本維新の会、企業や団体から献金を受け取りません。このタイミングで日本を変えないと子どもたちに胸を張って社会を引きつぐことができない。長崎3区の補欠選挙が長崎の政治の変わり目だと思います」

今回が、初めての選挙となる日本維新の会の新人、井上翔一朗候補は、消費税の減税や大阪で維新の会が実現させた幼児・高等教育の無償化などを政策として訴えています。

自民支持層の票の行方は

離島を抱える長崎3区。五島市は辞職した谷川弥一元衆議院議員の地元です。どちらの候補が谷川票の受け皿となるのかが注目されています。

有権者(五島市民):
「なんで(自民党は候補者を)立てなかったのかね。結局、いろんな問題で負けると思ってんのかしらね」

Q投票先は決めましたか?
有権者(五島市民):
「いやまだです。考えている所です」
Q自民候補が出ないので迷っているのですか?
「ですね。なんか私の年代はそこに入れるっていうのでずっと来たので」

“離島振興”について

山田候補は、現在、島民のみが対象となっている離島航路の割引運賃を島民以外にも拡大することや、国が農家や漁業者の所得補償を行うことなどを掲げています。

山田勝彦候補:
「やっぱり地方とか島はどんどんどんどん人口減少が、そして一次産業で担い手がいないという状況の中で、今の政治を大きく転換しなければ、そして本当に地域に届くような政策を実現しなければならないとより一層、その気持ちを強くしています」

一方、井上候補は、離島振興策として、ジェットフォイルの老朽化に対する予算措置や離島地域での医療・介護サービスの維持などを掲げています。

井上翔一朗候補:
「この国境離島は国防にも直結しますので、そういった離島への振興に対する費用というのは継続をして考えていくという方針でありますので、そこをお伝えさせていただきました。五島は谷川弥一さんの出身地でもありますので、自民党支持者の方が多い。もともとの自民党支持者の方、安心して投票頂ける先ですよというのをしっかりとお伝えしていきたい」

党幹部も選挙区入り

社民党や連合長崎などから推薦を受けている山田候補は告示後、毎日、選挙区内で個人演説会を開催し、組織固めを行っています。

党の幹部も続々と応援に駆けつけており20日、東彼杵町で行われた個人演説会では泉代表が、山田候補を激励しました。

立憲民主党 泉健太代表:
「最後までですね。山田勝彦には地域を回っておひとりおひとりの声を大事にして勝ち抜いてほしいという思いを込めて引き締めにやってまいりました。本当に一人でも多くの皆様に民主主義の大事な機会に参加をしていただきたいと、そして声を上げて頂きたいとそういうことを訴えたいなと思います」

一方、組織や団体から支援を受けていない井上候補は、集会などは開かず、街頭演説で日本維新の会の政策を訴えています。

21日には日本維新の会の吉村共同代表が井上候補と一緒に街頭に立ち、大票田の大村市内で支持を訴えました。

日本維新の会 吉村洋文共同代表:
「もう最後の最後まで胸借りるつもりで立憲民主党にぶつかっていってもらいたいと。長崎にも維新の選択肢があるんだと、自民党の古い政治では駄目なんだということを井上さんにぜひ訴えてもらいたいと。みんなが当然立憲を押してるわけじゃないと思いますから。自民党にも愛想をつかしてる人たくさんいると思いますので」

投票率は──

両陣営が懸念しているのが、投票率の低下です。期日前投票を済ませた人の数は21日現在、7,537人で、前回の選挙の時より5,600人以上少なくなっています。

山田勝彦候補:
「投票にいかないというのは“容認”。谷川さんの裏金事件だったり、今の自民党の金権政治だったり、こういったことを県民の皆様が容認したことになってしまいます。なので、多くの皆さんが選挙に行ってもらって投票に行ってもらって、今の政治を、岸田政権に対してノーを突きつける。ぜひとも投票に行っていただくということも、選挙戦を通じて訴え続けたいと思っております」

井上翔一朗候補:
「投票先をですね、まだ決めかねている方々、自民党支持者の方々ですとか無党派層の方々。まだ投票先を決定してないという数字も大きそうですので、そこの部分にしっかりと訴えかけていく。それが非常に重要かなと。残された期間ありますので、少しでも日本維新の会と井上翔一朗を浸透していけるように頑張っていく」

野党候補による一騎打ちとなった今回の選挙では「政治とカネ」の問題や「離島振興策」などをテーマに論戦が展開されています。自主投票を決めている自民党支持者がどちらに投票するのか、その行方にも注目が集まっています。

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