トヨタG8社24年3月期 全社増収、7社純利益増益 4社が過去最高に

「構造改革などの取り組みを着実に進め、業績改善につなげることができた」と語るアイシンの吉田社長(中)

 トヨタグループ8社が26日発表した、2024年3月期の純利益は、北米、日本を中心とした車両生産の回復や円安効果で7社が増益となった。主要顧客であるトヨタ自動車の生産回復などを背景に売上高では全社が、純利益でも4社が過去最高を更新した。一方で今期は、中国や東南アジアでの減産リスクなどを織り込み、4社が純利益で減益を見込んでいる。

 「車両生産台数の増加にロスなく追従できた」(豊田合成・齋藤克巳社長)、「生産体制を小さく構えたことで、増産効果の積み増しなどが業績改善につながった」(アイシン・吉田守孝社長)。
 好決算の最大の要因は車両生産の回復だ。トヨタが25日に発表した、23年度の世界生産台数は前年度比9.2%増の997万1739台だった。全8社とも増収で、豊田通商は売上高で初めて10兆円の大台を超えた。
 売り上げ増による営業利益の押し上げ効果は、豊田自動織機が910億円、アイシンが製品の構成変動も含め580億円、豊田合成も232億円計上している。
 体質改善も進んだ。ジェイテクトは、原価改善により、事業利益を133億円押し上げたと説明。佐藤和弘社長は「損益分岐点にこだわってきたことで、順調に事業利益が伸びてきた」と強調した。アイシンも企業体質の改善・構造改革効果として600億円、トヨタ紡織も合理化として99億円の押し上げ効果を計上した。
 円安も追い風となった。豊田自動織機やアイシンは200億円以上の営業増益要因となり、トヨタ紡織や豊田合成も約50億円、営業利益が増加した。
 今期の純利益予想は、4社が増益、4社が減益とまだら模様。ただ、各社の共通認識は、中国や東南アジアでの車両販売の不振だ。ジェイテクトの佐藤社長は「中国は来年も厳しいとみている」とし、トヨタ紡織の岩森俊一取締役も「現地は減産も想定しながら、体質強化を進める」と明かす。また、豊田自動織機の伊藤浩一社長も「どんな事態が起きても、機敏に対応できる備えをしていく」と身構えている。

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