車のひょう害防ぐ実験「警報出たらカバーで防御」群馬で5月スタート 2万セット配布へ

実証実験で配布するカバー

 ひょうによる車の損傷を軽減させようと、ベイシアグループと三井住友海上火災保険(東京都千代田区)、東芝デジタルソリューションズ(川崎市)が5月から群馬県で、車を覆う特殊なカバーなどを使った実証実験を始める。三井住友海上などが提供する降ひょうの危険性を知らせるアラートと合わせて活用。実際に被害が軽減できたかどうかを調べ、10月に結果をまとめる。

 デジタル技術でひょう害を未然防止しようと、同社などは昨年、関東在住の保険契約者や社員に降ひょうの危険性を知らせる「ひょう災アラートサービス」を提供する実証実験に取り組んだ。アラートは雨雲を詳細に分析し、降ひょうを予測する東芝独自の気象レーダーデータ解析技術を使い、ショートメッセージなどで注意を呼びかける内容。実験ではアラートの有用性が示されたというが、利用者から「屋根がある場所に移動するなど回避行動につなげるのが難しかった」といった声が寄せられた。

 三井住友海上はアラートから数十分の間に対策ができるグッズの開発をベイシアグループに打診。同グループでカー用品専門店チェーンを展開するオートアールズ(埼玉県本庄市)が降ひょう被害を防ぐ特製のカバーを製作した。

 ボンネット用(幅1.8メートル、長さ1.4メートル)とフロントガラスおよび屋根用(幅1.5メートル、長さ4メートル)の2種類があり、5月17日から前橋や高崎、伊勢崎など各市にあるベイシアやオートアールズなど計33店舗で、先着約2万セットを配布する。

 対象は群馬に住む三井住友海上の自動車保険契約者で、アラートを受信できることなどが条件。6~9月にアラートを受け取った後、実際にカバーを使ってもらい、ひょうによる被害が防げるかを調べる。10月にアンケートを実施し、結果をまとめる。

 同グループ担当者は「社会課題の解決に向けて、少しでも貢献できればうれしい」と話した。

 本県では昨年7月、南部を中心にひょうが降り、車のボンネットや天井がへこんだり、後部ガラスが割れるなどの被害が相次いだ。三井住友海上によると、同月のひょうによる県内での自動車の被害は約1万件に上った。本県の被害が他地域と比較して多いことなどから、今回の実験地に選定した。

© 株式会社上毛新聞社