「逮捕状を取って客待ち容疑で逮捕」歌舞伎町の売春摘発、“新手法”前に起きていた“警察の初動”

大久保公園

売春目的で女性が集まる「立ちんぼ」スポットとして、知られてきた新宿・歌舞伎町の一角にある大久保公園周辺。

このエリアでの立ちんぼが社会問題化してからというもの、幾度か警察による集中摘発がおこなわれてはきたが、現在も夜になれば、路上に立つ複数の女性と、そうした女性を物色したり、声をかける男性の光景は、このエリアの日常の風景だ。

そうしたなか、4月24日、警視庁新宿署と保安課は、住所不定、無職の女性(28)を売春防止法違反(客待ち)の疑いで逮捕したと発表した。

「警察はこれまで『客待ち行為』については、客とホテルに入る瞬間などに現行犯逮捕で取り締まってきましたが、今回は、女性の過去の行為について逮捕状を取り、女性が歌舞伎町に来ていたところを逮捕しています。逮捕容疑は4月11日午後6時半ごろ、新宿区の大久保公園周辺で、売春する目的で客待ちをしていた疑い。

警視庁によると、女性は2023年10月ごろから複数回路上に立ち、男性と交渉をしたり、ホテル街に向かったりしているところが確認されたそうで、警視庁は11日の行為について逮捕状を取得した上で、23日に大久保公園周辺で客待ちをしていた女性を逮捕。女性は黙秘しているとのことです。

警視庁は、従来と異なる新たな手法による抑止効果に期待しているといいます」(週刊誌記者)

毎日新聞の報道によれば、立ちんぼは2023年末までに一時減少傾向にあったものの、24年1月以降は再び増え始めているという。

最新の歌舞伎町事情を、“歌舞伎町ガイド人”として知られる仙頭正教氏(@sento1025)に聞いた。

「昨年(2023年)秋から暮れにかけて、大久保公園から立ちんぼが減った理由は、言うまでもなく、集中摘発によるものです。その集中摘発は、私服警官が一般男性のフリをして、いわゆる“オトリ捜査”で現行犯逮捕するというもの。それこそ2023年の9月などは、1カ月の間に35人も立ちんぼが逮捕されました。

しかし、その集中摘発は、年末をもって一区切りとなり、年が明けて1月以降は、取り締まりがそこまでおこなわれていません。2024年1月以降は再び増え始めている理由は、やはり年明け以降、警察の取り締まりが緩くなったからでしょう。

大久保公園に集う買春男性たちによると、再び増えた立ちんぼ女子のなかには“新規”の女の子もいるにはいるものの、大半は“イツメン”とされる常連の子たちだと。去年からいた常連女性たちが、戻ってきているようです」(同前)

今回、警視庁は「過去の行為について逮捕状を取って客待ち容疑で逮捕」という新たな手法に踏み切ったわけだが、仙頭氏いわく、それに“初動”はあったという。

「警察は、“オトリ捜査”はほとんどおこなわなくなったものの、大久保公園の取り締まりをやめたわけじゃなかった。どうやら、立ちんぼたちの動きをじっくり観察し、ときに尾行などをおこない、『あの女、昨年注意したけど、また立ってるな、悪質だな!』とチェックをおこない、次の一手を踏み出そうとしていたようです。

新たな動きがあったのは、まず4月17日。警察が、歌舞伎町のラブホテルやレンタルルームなど62店舗を訪ね、『一日に何度も来店するような売春利用の疑われる女性がやって来ている場合は警察に連絡してください』と要請して、ラブホテルとの連携の下地をつくっています。

そして、4月24日、28歳の立ちんぼが『4月11日に売春をしていた』容疑で逮捕状を突き付けられ、“通常逮捕”されたわけです。この逮捕に関して、東京新聞には『新宿署では、女が昨年から5回以上にわたり客待ちを繰り返し、買春客とホテルに入ったことなどを確認』と書かれていました。

この記述からは、警察がこの28歳の立ちんぼ一人だけをマークし、尾行していたとは読み取れません。警察はやはり、立ちんぼを片っ端から観察していたと考えられます」

今回逮捕された28歳女子は、口コミ掲示板では「橋本環奈似」と呼ばれる、界隈では有名な常連だったといわれているが、仙頭氏によれば、勾留された彼女は「弁護士が来るまで話しません」と取り調べに応じず、黙秘しているという。

「常連の彼女の逮捕を受けて、いま大久保公園の立ちんぼたちは皆、不安に駆られているはずです。『自分も既に身元が割られ、逮捕状を取られる直前かも』と思っている女子も多いと思います。なので、今後は昨年末のように、また一旦、立ちんぼたちが大久保公園から離れていくんじゃないでしょうか」

警察が取り入れた新たな手法は、今度こそ大久保公園周辺の浄化に繋がるだろうかーー。

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