【天皇賞(春)】上位2頭は互角も勢い信じる 京大競馬研の本命はテーオーロイヤル

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昨年の菊花賞の内容は2016年と同等

4月28日(日)に京都競馬場で天皇賞(春)が行われる。長距離重賞連勝中のテーオーロイヤルや当レース3年連続2着のディープボンド、昨年のクラシックホースであるタスティエーラにドゥレッツァなど18頭が集まった(※ヒンドゥタイムズ出走取消)。

中距離GⅠ馬の出走が少なくなって久しいレースだが、今年はダービー馬タスティエーラの参戦で一気にレベルが上がった印象だ。前年のダービー馬が天皇賞(春)に参戦するのは2014年以来。筆者は大阪杯まで結果を出せていなかった4歳世代のレベルを度々疑ってきたが、今回はどうなのか。昨年の菊花賞のレベルを分析し、本当のところはどうなのか明確にしたい。

まずは昨年の菊花賞のレベルを調査するため、レースラップを振り返る。1000mごとのラップタイムは【60.4-64.1-58.6】。先行争いをした後、中盤緩んで終盤でスパートをかけるという、典型的な長距離戦の形になっていた。1000~2000mまでのタイムが64.1とかなり緩んでおり、C.ルメール騎手が脚を溜めるため上手くペースダウンしていたことが分かる。その結果ラストの1000mは58.6。後半4ハロンは11秒台が並んでおり、最後までハロンタイムが落ちていない。実はこのラスト1000m58.6という数値は京都開催の菊花賞では過去20年でも最速だった。

同様の例として2016年の菊花賞を参考にしたい。1000mごとに【59.9-64.5-58.9】と中盤がっつりペースダウンした後、最後の上がり勝負になっており、中距離適性も問われる一戦だった。ディープ産駒のサトノダイヤモンドが勝ったのも納得の内容だ。昨年の菊花賞も2016年と同等かそれ以上のレベルにあると考える。そして菊花賞馬は天皇賞(春)で幾度となく好走しており、ドゥレッツァも当然勝ち負けになるだろう。

分析の結果、菊花賞の内容だけは高く評価してもいいという結論に至った。一方、2着タスティエーラ以下は能力差でドゥレッツァに負けた可能性が高い。スローで後ろの自滅があり恵まれた日本ダービーや、大阪杯で全く伸びなかった内容からも、タスティエーラがドゥレッツァを逆転することは不可能と判断した。今年は逃げ馬不在で菊花賞同様の上がり勝負になると予想。上がりの使えないタスティエーラには厳しいレースになるだろう。

内枠有利、先にインを取って距離ロスを防ぎたい

次に過去10年のうち京都開催の8回について枠順別成績を調べた。1枠【3-0-1-10】、4枠【1-2-3-10】などやはり距離ロスを最小限に抑えられる内枠の方が良い。外枠も6枠【1-2-1-12】、7枠【1-1-0-16】と全くダメではないが、上位進出はほぼ人気馬に限られている。人気薄の外枠は基本消しだ。

上位2頭は互角

◎テーオーロイヤル
ダイヤモンドSと阪神大賞典を連勝中。一昨年の天皇賞(春)は早仕掛けから3着と、適性の高さを見せていた。長期休養を挟んで復活、パワーアップした今なら更に上の着順を期待できるだろう。ステイヤーズSで驚異の上がり33.9を出すなど末脚勝負は歓迎だ。

◯ドゥレッツァ
昨年の菊花賞馬。前記の通り菊花賞のレース内容は悪くなく、脚質も自在性があるため、4歳だからとこの馬まで評価を下げる必要はないだろう。条件戦4連勝は全て上がり最速で、スローの上がり勝負は歓迎だ。

テーオーロイヤルと共通して言えることだが外枠は不安材料。枠順別成績が示すように内で溜めた方が良いのは明らかで、騎手の力が問われるところ。菱田、戸崎騎手もこれらのことは分かっているはず。ミスの有無で着順が決まるため、現状分からないところで印の上下をつけるのは非常に難儀だった。最後は好みの差で決めた。

▲サリエラ
ダイヤモンドS2着。テーオーロイヤルに屈したが、持ち味の末脚で最後まで抵抗した内容は評価できる。牝馬には厳しいといわれる天皇賞(春)だが、単純に能力ある牝馬がここを使っていないだけで、3年前3着カレンブーケドールのように能力上位で先行できる馬なら勝ち負けになる。枠順も非常に良い。ただしテーオーロイヤルには適性面でも能力面でも敵わない。

タスティエーラは力の差を考えると完璧に乗って3着が限界。サリエラより距離ロスを小さくするのは難しいため、筆者の中では4着の可能性が高いと判断して消した。ワープスピード以下、ダイヤモンドS、阪神大賞典で差をつけられた馬は力不足が否めない。ディープボンドも前走阪神大賞典は不得意な上がり勝負になったとはいえ、負けすぎだ。衰えを感じるため消しとした。馬券はテーオーロイヤルの単勝、印3頭の三連複1点で勝負する。(文:福山)

天皇賞春 予想印
◎テーオーロイヤル
◯ドゥレッツァ
▲サリエラ

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。



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