新浪剛史カラーで「明るい経済同友会」復活も…経済政策の提言は?

雰囲気が明るくなった(サントリーホールディングス社長の新浪剛史「経済同友会」代表幹事)/(C)共同通信社

【政官財スキャニング】#75

政界通(以下=政) サントリーホールディングスの新浪剛史社長(65)が経済同友会の代表幹事に就任して丸1年たった。26日には副代表幹事が4人、交代する。経済界の同友会評はどうかね?

財界通(同=財) 「雰囲気が明るくなった」という声が多い。タクシーの乗員不足解消に「ライドシェア」の思い切った導入、創業者による性的虐待が問題化した旧ジャニーズ事務所所属のタレントのCM起用停止、性的少数者への理解を呼びかける活動への参加など、社会的な課題に対して踏み込んだ言動が目立ったからだろう。

政 それは、新浪氏の柔軟な思考やはっきり物を言う性格によるところが大きいのかな?

財 そう思う。定例の記者会見も事務局が用意するような「Q&A」に頼らないし、どんな分野の質問にも逃げない姿勢がメディアにも好評だ。

政 官庁街はどう見ている?

官界通(同=官) 同じような印象を受けているむきが多い。ただ、ちょっと気になる声もある。

財 肝心な経済政策や産業政策で同友会らしい5年後、10年後の日本の姿を描く具体的な提言が出てこない点か?

官 そうだ。人口減や「ものづくり」の国際競争力の後退など、日本経済は大きな課題の解決を迫られている。貿易、資本、金融の自由化といった経済の強靱さが求められる課題を克服しグローバル化を果たした20世紀後半と比べても厳しい状況だ。同友会の斬新で大胆な提言が期待される。

政 新浪氏は、政府が経済政策の在り方を決める経済財政諮問会議の民間委員を、もう10年やっている。日本経済の課題はそこで主張しているから「提言はしている」と思っているのかな?

官 そうかもしれない。でも、諮問会議は翌年の政府予算の姿は示すが、5年先、10年先の課題にまで及ばない。その提言は、やはり同友会の役割だ。

■問われる2年目

財 というより、それが出なければ同友会の存在意義はない。副代表幹事には論客もいる。1人で背負わず、その活用がカギだ。

政 新浪同友会の2年目が、問われるな。

(構成=竜孝裕/ジャーナリスト)

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