NY市場サマリー(26日)ドル158円台乗せ、米株上昇 長期債利回り低下

<為替> ドルが158円台に乗せ、34年ぶり高値を更新した。日銀による政策の現状維持が材料視されたほか、米インフレ指標がおおむね予想と一致し、連邦準備理事会(FRB)が利下げ開始を遅らせるという観測が強まった。

日銀は金融政策決定会合で現状の政策を維持。植田和男総裁は記者会見で円安に対して踏み込んだ発言をせず、円売り地合いが一段と強まった。

EBSによると、ドル/円は終盤の取引で1.7%高の158.275円。

ドルは一時154.97円に急落し、円買い介入もしくは介入を前提に金融機関にレートの提示を求める「レートチェック」が入ったのではないかとの思惑も広がった。市場では、参加者の間での強い介入警戒感によって、一時的にドル売りが集中して発生したとみられている。

ドル/円は週間では2%上昇する勢いで、これは1月中旬以来の大幅な伸び。

26日発表された3月の米個人消費支出(PCE)価格指数は、前月比0.3%上昇で市場予想と一致。前年比は2.7%上昇と、予想の2.6%上昇を小幅上回った。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアPCE価格指数は前年比2.8%上昇、前月比0.3%上昇と、ともに伸び率は2月と同じだった。

BMOのチーフエコノミスト、ダグラス・ポーター氏は、PCE価格指数が懸念されていたほどインフレの上振れを示さず、一定の安心感が広がったものの、「FRBが目安とするインフレ指標は年初から着実に上昇している」と指摘。「インフレが落ち着きつつあるという自信をFRBに与えることはほぼできないだろう」と述べた。

CMEのフェドウオッチによると、PCEを受け、市場が見込む9月利下げの確率は58%と、1週間前の68%から低下。12月利下げの確率は80%超織り込まれている。

主要通貨に対するドル指数は0.3%高の105.93。

ユーロ/ドルは0.2%安の1.0705ドル。週間では0.4%上昇と、3月初め以来の高い伸びとなる見通し。

ユーロ/円は一時、16年ぶりの高値となる168.85円を付けた。その後は1.1%高の168.845円近辺で推移した。週足では2.5%値上がりし、昨年6月半ば以来の大幅な伸びを記録する見通し。

ポンド/ドルは0.1%安の1.2501ドル。今週は1.1%上昇。3月初旬以来最大の値上がりとなる。

市場では、来週開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されている。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 期間が長めの国債利回りが低下した。朝方発表された米個人消費支出(PCE)価格指数がほぼ予想に沿う内容となったことで、インフレ再燃を巡る懸念が和らいだ。

3月のPCE価格指数は前月比0.3%上昇で市場予想と一致。前年比は2.7%上昇と、予想の2.6%上昇を小幅上回った。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアPCE価格指数は前年比2.8%上昇、前月比0.3%上昇と、ともに伸び率は2月と同じだった。

また、同日発表された4月の米ミシガン大消費者信頼感指数・確報値で、1年先のインフレ期待は3.2%だった。

今月発表された3月米消費者物価指数(CPI)や前日の第1・四半期の国内総生産(GDP)がインフレ加速を示す中、市場の米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始予想は後ずれし、9月に利下げが始まるという観測が強まっている。

ストーンXグループの米債セールス&トレーディング部門責任者スティーブン・ゴラ氏は、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、パウエル議長が市場を混乱させることなく、短期的に利下げの可能性は低いと認めることができる余地が存在する可能性があるという見方を示した。

終盤の取引で、10年債利回りは4ベーシスポイント(bp)低下し、4.671%、2年債利回りはほぼ変わらずの4.998%。

2年・10年債利回り差はマイナス33bpと、マイナス幅が3bp拡大した。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 上昇して取引を終えた。米グーグルの持ち株会社アルファベットとマイクロソフトの好決算や緩やかなインフレ指標を受け、大型グロース株が上昇した。

アルファベットは初配当や最大700億ドルの自社株買い、第1・四半期の好決算が好感され、株価は10%上昇し最高値を形成。時価総額は2兆ドルを上回った。

マイクロソフトも1.8%上昇。第3・四半期(3月まで)決算は売上高と利益が市場予想を上回った。

他の大型グロース株も上昇した。アマゾン・ドット・コムは3.4%上昇、エヌビディアは5.8%上昇、メタ・プラットフォームズは0.4%上昇した。

一方、アップルは0.3%安、テスラは1.1%安となった。

S&P主要11セクターのうち6セクターが上昇。通信サービス、情報技術、素材などが上昇した。

週間ではS&P総合500種とナスダック総合が2023年11月上旬以来の大幅な上昇率を記録。S&P500は4週間ぶり、ナスダックは5週間ぶりに反発した。

プラム・ファンズの社長兼リードポートフォリオマネジャー、トム・プラム氏は「マイクロソフトとグーグルの決算はメタの決算で提起されたデータセンターと人工知能(AI)への投資が利益率を圧迫するという懸念をかなり和らげた」と指摘。「グーグルとマイクロソフトはどちらも、現在の資本計画では利益率が拡大すると予想していることを示した。これにより、データコンピューティングの伸びに対する懸念の多くが和らいだ」とした。

米商務省が26日発表した3月の個人消費支出(PCE)価格指数は、インフレ率の緩やかな上昇を示した。ただ、住宅価格などが高止まりし、米連邦準備理事会(FRB)が当面、金利水準を維持する可能性を示唆した。

金融市場では連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げする確率が高まった。

個別銘柄では、画像共有アプリ「スナップチャット」を運営する米スナップが約28%急伸。25日に発表した第1・四半期決算は、売上高が前年同期比21%増の12億ドルとなり、LSEGデータによるアナリスト予想の11億2000万ドルを上回った。

ピンタレストも4%高となった。

一方、米石油大手エクソンモービルは約3%安。26日に発表した第1・四半期決算(3月31日まで)は調整後利益が前年同期比29%減の82億2000万ドルと、市場予想(87億8200万ドル)を下回った。

米半導体大手インテルも9.1%下げた。25日に発表した第2・四半期の売上高および利益見通しは市場予想を下回った。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を2.25対1の比率で上回った。ナスダックでも1.84対1で値上がり銘柄が多かった。

米取引所の合算出来高は98億8000万株。直近20営業日の平均は110億1000万株。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 米長期金利の低下を背景に買い安心感が広がり続伸した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比4.70ドル(0.20%)高の1オンス=2347.20ドル。週間では2.8%安だった。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> 米利下げ先送り観測が上値を抑えたものの、中東情勢の緊迫化への懸念が引き続き押し上げ要因となり、小幅続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.28ドル(0.34%)高の1バレル=83.85ドル。7月物は0.38ドル高の83.13ドルだった。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 158.33/158.36

始値 156.81

高値 158.43

安値 156.34

ユーロ/ドル NY終値 1.0692/1.0696

始値 1.0726

高値 1.074

安値 1.0675

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 91*21.50 4.7765%

前営業日終値 91*01.00 4.8200%

10年債(指標銘柄) 17時05分 94*26.50 4.6630%

前営業日終値 94*16.00 4.7060%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*23.25 4.6870%

前営業日終値 99*19.00 4.7170%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*24.88 4.9934%

前営業日終値 99*24.63 4.9980%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 38239.66 +153.86 +0.40

前営業日終値 38085.80

ナスダック総合 15927.90 +316.14 +2.03

前営業日終値 15611.76

S&P総合500種 5099.96 +51.54 +1.02

前営業日終値 5048.42

COMEX金 6月限 2347.2 +4.7

前営業日終値 2342.5

COMEX銀 5月限 2725.2 ‐10.1

前営業日終値 2735.3

北海ブレント 6月限 89.50 +0.49

前営業日終値 89.01

米WTI先物 6月限 83.85 +0.28

前営業日終値 83.57

CRB商品指数 296.8357 ‐0.8209

前営業日終値 297.6566

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