【GWに読みたい】久々の実家帰省で遭遇した「家族トラブルエピソード」3つ

<家・介護・お墓>ややこしいけれど、避けて通れないこともある「家族の終活」

今年もGWがやってきました。久々に実家に帰る、という人も多いのではないでしょうか。両親やきょうだい、親戚などと顔を合わせる機会ですから楽しく過ごしたいところですね。

団らんの際には介護、お墓、お葬式などの大切な話題にもふれておきたいもの。しかし、こうした話に「お金」のことが絡んでくるとそれぞれの思惑から誤解が生じ、親族内のもめごとに発展することも。

「大型連休に大型トラブル勃発」なんてことは避けたい事態ですよね。

ということで今回は、筆者の周りで起こった「帰省時の、親族もめごとエピソード」を紹介。あわせて介護やお墓などにまつわるデータもみていきましょう。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

【ケース1】「汚屋敷」と化した実家で起きた、生前整理をめぐる親子バトル

断捨離を強引に進める娘に両親猛反発!

【画像1枚目/全3枚】娘から見ればガラクタの山だけど…<家・介護・お墓>のこと。親と話せていますか?

80歳代の両親が暮らす実家に久々に帰省したAさん。ところが家の中がガラクタだらけ。キレイ好きな母がいつも家の中を整理整頓していたのに、何かあったのかと思わず目を疑ったそうです。

「こんなガラクタまで取っておくの?どうせ使わないのなら捨てるか売るかして片付けなきゃ!」と生前整理の手配をしようとすると、両親の猛反発にあったとのこと。

一見“ガラクタ”に見えたかもしれませんが、それらの中にはご両親の趣味の道具や思い出の品々も含まれているはず。強硬手段に出ようとすると親子関係に亀裂が入ってしまうことにもなりかねません。ご両親の様子も注意しながら、焦らずにさりげなく生前整理の必要性を伝えられるようにするとよいですね。

両親ともに几帳面で掃除も大好きだったはずなのに、時を経て実家がゴミ屋敷状態になっていてショックを受けるというのは実はよくある話。ただ、部屋の状態をまずはよく観察してみましょう。

体力がなくなって片付けが億劫になっただけではなく、同じ日用品の大量のストックがあったり、明らかなゴミが捨てずに置かれたりしていたら、要注意。 単に片付けの問題だけではなく、その背景には親の認知能力の低下があるかもしれません。 「これってもしや、認知症の兆候?」と感じる節があれば、しかるべき医療や介護に繋げてあげられると良いですね。大型連休の帰省時は、こうした親の変化に気が付いてあげる絶好のチャンスです。

次のエピソードは、親の介護をめぐって起きたきょうだいトラブルのお話。

【ケース2】母さんを施設に入れるなんて、よく言えたもんだな!

親の介護の分担の話題できょうだいの仲が険悪に

大型連休の初日に、実家で顔を合わせたBさん(長男49才)とCさん(長女46歳)。久しぶりに会った一人暮らしの母(80歳)の姿に老いを感じたといいます。

心配になって「一人暮らしは難しいかも……」とCさんが兄に相談すると「じゃあお前が面倒をみろ。俺は仕事が忙しいし、母さんだって娘に面倒を見てもらうほうがいいだろう」と決めつけるBさん。

Cさんとしては母に施設に入ってもらい、平等に介護費用などを分担できればと考えていたそうですが、実際に入所するとなればどのくらいお金がかかるのか不安もありました。

「施設に入れてしまえだなんて、よくそんな薄情なことを言えるな。高額な費用がかかるのなら俺は反対だ」と頑としてCさんの話を聞こうとしないBさん。せっかくの親子の和やかな時間が一気に険悪ムードに……。

「母は年金と貯金で介護費用を賄えると考えているようでした。ただ、母の自己資金がどれくらいあるのかもわかりません。母のことは心配ですが、全部自分に押しつけようとする兄の態度は納得できません。落ち着いて話し合っておきたいのですがモメてばかりです」とCさん。

介護の分担をどうするかということに加え、そこにお金が絡んでくると、きょうだいとはいえイザコザに発展してしまうケースが多々あります。現状を知っておくことはとても大切です。

介護にまつわる内閣府の調査結果も見てみましょう。

【データ】65歳以上の約半数が「介護のプロに介護を任せたい」と考えている

出所:内閣府「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」

全国65歳以上の男女を対象にした内閣府の「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」によると、将来トイレなどの介護が必要になった時「ヘルパーなど介護サービスの人(46.8%)」「配偶者(30.6%)」「子(12.9%)」「子の配偶者(1.0%)」に介護を頼みたいと回答。

自分の介護は「介護のプロに任せたい」と考えている人が約半数弱にのぼります。一方「わが子に介護をしてもらいたい」と考えている人は約1割強。この割合をどうとらえるかには個人差がありますが、子どもに頼るつもりがない人は意外に多いと感じる人もいるでしょう。

では、介護費用についてはどうでしょう?

同調査では、65歳以上の85.2%が、介護が必要となった場合介護費用を「自分自身の資産から出す」と答えているのです。とはいえ、これは元気なシニア世代の回答。高齢になった親は判断力が低下し、自身でお金の管理ができなくなってしまうこともあります。

介護が必要になったときにどうしたいかを親にさりげなく聞いておき、きょうだいがいる場合は、お互いどう協力できるかを感情的にならずに話し合えるような関係づくりをしておくのが理想でしょう。

さいごのエピソードはちょっとややこしい話になりそうです…。みなさん「お墓」のことで漠然と不安を抱えていたりしませんか?

【ケース3】ややこしいけれど「避けては通れない」お墓の話

「妹夫婦家族のお墓に入る!」と宣言したDさん(60代女性)に困惑する姪っ子

実家の「墓じまい」って意識したことありますか?

最後はお墓をめぐるトラブル。「離婚して入る墓がないから、妹夫婦のお墓に入る」と宣言したDさんのエピソードです。その妹夫婦の娘、つまりDさんの姪っ子であるEさんは、正直、思わぬトラブルに巻き込まれてしまったと感じているそうです。

「私のおばであるDさんは息子を女手一つで育ててきた苦労人。とても面倒見がよく、私もお世話になったんですけど……」と、ため息をつくEさん。

「息子が国際結婚して海外移住してからは、何かと妹夫婦である私の両親を頼ってくるよう。しまいには『一人になって入るお墓もないから、もしもの時はよろしくね』と……」

Dさんの妹夫婦はこれに猛反対。実は子供に負担をかけたくないからとゆくゆくは「墓じまい」を考えていたそう。

「おばが孤独を感じる気持ちもわかりますし、母が反対しながらも実の姉を見捨てられない気持ちも透けて見えて、困ったことになったと思いました。

“その時”のことは考えたくありませんが、両親に加えおばも墓に入ったとしたら、実際に供養し管理するのは一人娘の私ということになるんですよね。

実際に墓じまいの手続きを行うのが自分なんだという現実に気づいたら、やすやすとイエスとは言えないと思ってしまって……」と話してくれたEさんでした。

墓じまいを意識する人が増えている

全国石製品協同組合(全石協)が2023年10月に公表した調査によると、お墓の購入予定がある人の48.9%が「七回忌まで」といったように墓じまいをあらかじめ想定しているという結果も。

2023年10月に厚生労働省が公表した「令和4年度衛生行政報告例」によると、2022年度の全国の改葬件数は過去最高の15万1076件。これは1998(平成10)年の約2倍となる件数なのです。

核家族化や少子化が進み、墓守となる継承者たちの数も減っています。夫婦ともに一人っ子で、それぞれの実家のお墓の維持管理をせざるを得ないケースも多く、子どもや孫の代に負担をかけないために「墓じまい」を意識する人が増えるのもうなずけます。

<家・介護・お墓>ややこしいけれど「避けて通れない」家族の終活

今回は、せっかくの楽しい帰省が重苦しいムードに激変してしまった「家族・親族トラブルエピソード」を3つご紹介しました。

終活や介護、お墓の話をせっかくのGWにするなんて、と思ってしまうかもしれません。しかし、久しぶりに肉親と顔を合わせる時だからこそ、フランクにお互いの気持ちを確かめておきたいですね。

いざとなった時に後悔しないよう、こうした話題でも感情的にならず、でも率直に話せるような雰囲気づくりを心がけてみましょう。

※ご紹介したエピソードは実話に基づくものですが、個人の特定を防ぐために一部脚色をしています。

参考資料

  • 内閣府「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」
  • 全国石製品協同組合(全石協)「これからお墓を購入しようと考えている方の‟お墓の形態”と”お墓の使用期限”についてのアンケート調査」(PR TIMES)2022年9月19日
  • 衛生行政報告例/平成10年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/平成15年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/平成20年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/平成25年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/平成30年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/令和元年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/令和2年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/令和3年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)
  • 衛生行政報告例/令和4年度衛生行政報告例/統計表/年度報(e-stat)

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