日本に愛された世界的名手に仏同僚が粋な計らい 引退ペリエ騎手が語った感慨「涙は後から来るかも」

世界的名手オリビエ・ペリエ騎手【写真:産経新聞社】

フランスで最後の騎乗

日本の中央競馬でG1レースを12勝し、現役引退を発表していた世界的名手オリビエ・ペリエ騎手が25日、フランスのラ・テスト競馬場での最後の騎乗を終えた。仏地元紙は、ジョッキー仲間による“鞭のアーチ”で見送られた様子をSNSで公開。英専門紙は「素晴らしいキャリアの最後に敬礼」との見出しで記事を掲載し、ペリエ騎手の「涙が来るのは後になってからかも」といったコメントも紹介している。

世界的名手がついに鞭を置く時が来た。ラ・テスト競馬場で最後の騎乗となったハンデ戦の前、ジョッキールームから出てきたペリエ騎手を待っていたのは、他のジョッキーたちが左右に分かれて“鞭のアーチ”。ペリエ騎手はそれをくぐると、最後の騎乗馬に跨り、本馬場に向かっていった。仏地元紙「パリターフ」公式X(旧ツイッター)は「メルシー」と感謝の言葉とともに動画を公開した。

英専門紙「レーシングポスト」は「メルシー、オリビエ! オリビエ・ペリエにとって最後の勝利はなかったが、競馬界は団結して素晴らしいキャリアの最後に敬礼した」との見出しで記事を掲載。本文では「レースの前には、ペリエはまだ差し迫った引退を本当には痛感していないと認めた」と記したうえで「受け取った全ての祝福の言葉は素晴らしいものだったけど、これが最後の日だときちんと実感できているかというと定かではないね」「メジャーなレースに勝ったときのようだ。その時には何が起こったのか実感できない時もある。涙が来るのは後になってからかもね」というペリエ騎手のコメントも紹介した。

同紙はジョッキー仲間が作った“鞭のアーチ”について触れたうえで「彼が主催者の前にインタビューされるために後検量から戻ってきたとき、感情が現れてくるところまでグッと近づいた」と感極まったペリエ騎手の様子についても伝えている。

仏競馬を統括するフランスギャロによると、89年の騎手デビューのペリエ騎手はフランス国内で2万1250回騎乗し、2995勝。G1・94勝、G2・88勝、G3・185勝で4度の最多勝利騎手賞を受賞。日本競馬との繋がりも深く、1994年に初来日してから日本中央競馬界(JRA)短期免許を取得すると1995年から14年連続重賞勝ちを果たした。

2000年フェブラリーステークスをウイングアローで優勝し、日本のG1初制覇。藤澤和雄調教師が管理したシンボリクリスエス、ゼンノロブロイとのコンビは有名で、2002年からG1有馬記念3連覇の偉業も成し遂げ、日本の競馬ファンからも愛された。2004年世界の競馬界でも最高峰G1と呼ばれる凱旋門賞も4度制覇。そのうち、2012年のレースでは12番人気のソレミアに騎乗し、直線で完全に抜け出したオルフェーヴルをゴール前で差し切った勝利も含まれている。

THE ANSWER編集部

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