新型コロナウイルス感染症の「5類」移行後、初めてのゴールデンウイーク(GW)が近づいた。熊本県内では海外旅行の需要が回復する一方、止まらない円安の影響で近場を選ぶ傾向が強まっている。
熊本市中央区の旅行会社九州産交ツーリズムはコロナ禍を経て4年ぶりに、GW期間中の海外旅行商品を復活させた。コロナ前は米国やハワイが主流だったが、今年の1番人気は台湾。熊本-台北間の直行便就航や親日的な国民性に加え、現地の物価高と円安で滞在費がかさむようになったため、旅程が短い近場に目を向ける人が増えたという。
JTBの調査でも、九州地方に住む人が今年のGWの海外旅行先に選んだのは韓国、台湾、グアムの順だった。円安だけでなく連休中に平日が3日挟まる日並びも影響しているという。
海外旅行の需要自体は着実に戻りつつある。熊本県観光国際政策課によると、県内で2023年に発行したパスポートは約3万4千件。コロナ前の19年は約4万5千件あったのに対し、21年は約3900件にまで落ち込んでいた。
回復傾向に水を差しかねないのが、昨今の急激な円安だ。九州産交ツーリズムは「円安が落ち着いてくれれば、遠方の旅行先を選ぶ客も増える」と期待し、為替の動向を注視している。(岩崎皓太)