福島県産農産物 輸出量過去最高453トン 2023年度米国にコメ前年度比5.6倍

 福島県産農産物の2023(令和5)年度の輸出量は453トンで、2005(平成17)年度の調査開始以来、過去最高となった。米国へのコメの輸出量が152トンとなり、前年度と比べ5.6倍と大幅に伸びた。

 県産農産物の輸出量の推移は【グラフ】の通り。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故発生後に落ち込んだが、その後に回復傾向が続き、昨年度は最も多かった2021年度の432トンを21トン上回り過去最高を更新した。

 農林水産省と県によると、米国など世界各地で日本料理の人気が高まっており、国産のコメの輸出量が年々増加している。県産米は一時、風評を受けて苦戦したが、巻き返している。2015年度は13トンだったのに対し、2023年度は過去2番目に多い383トンに跳ね上がっている。

 県によると、米国に輸出している県産コメの約6割は県オリジナル米「天のつぶ」。パッケージや販促物には、福島県産であることが明記されている。

 県は今年2月に国内外でディスカウント店「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH、東京都)と、コメなどの県産品の海外販路拡大に向けた連携協定を締結。世界にある100店舗超の販売網を活用して県産品を売り込んでおり、今後も、輸出量の拡大が期待される。

 モモの昨年度の輸出量は45トンで、前年度の42トンをやや上回った。福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)は北海道大と連携し、モモなど県産果実の海外への輸送に効果的な長期保管技術の開発に今年度から乗り出す計画。県は機構の技術開発も見据え、県産果実のさらなる輸出拡大を図る。

 県産農産物のさらなる輸出拡大には、中国やロシアなどで続く原発事故に伴う輸入規制の解除が欠かせない。県は引き続き安全性や品質の高さをアピールし、理解を求めていく。

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