福島第1原発トラブル続発 危機管理の甘さ批判 規制委「リスク抽出不十分」

 東京電力福島第1原発で昨年からトラブルが相次いでいる問題で、原子力規制委の伴信彦委員は26日に開かれた規制委の会合で「一連の事案で共通するのは計画段階でのリスク抽出の不十分さだ」と批判し、改善を迫った。東電側は危機管理の甘さを認め、大型連休明けにも総点検を検討する考えを示した。

 福島第1原発では昨年10月、作業員に放射性物質を含む廃液が飛散。今年に入ってからは、焼却炉建屋からの放射性物資を含む水の漏えい、廃棄物焼却設備の水蒸気発生による停止が起きた。24日にはケーブルの切断によって一部施設が停電した。

 伴委員は手順書の不備などが原因だと指摘。これまでも計画段階でリスクの抽出を徹底するよう求めたが、改善していない現状を踏まえ、「深刻という感覚を持っているのか」と苦言を呈した。

 会合の委員を務める蜂須賀礼子大熊町商工会長は「東電はリスクに関する認識が甘い」と述べ、原子力規制庁の監視を強化すべきだとした。委員の徳永朋祥東大教授は欠けていた視点などを洗い出し、見直しを進めるよう助言した。

 小野明東電副社長・福島第1廃炉推進カンパニー最高責任者は「作業手順の中に不備がないかをもう一度見てみたい」と反省を口にした。作業停止も含めて検討し、全体のリスクを確認する考えを示した。

 席上、原子力規制庁から、焼却炉建屋からの汚染水の漏えいは現時点で「軽微な違反(監視)」と評価されていることが報告された。ケーブル切断による停電についても今後、保安検査が進められる見通し。

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