日本は安い? 世界のスタバ価格で各国の物価を比較 元添乗員がすすめる「今が行き時の国」

スタバ価格から見える、海外各地の物価事情とは?【写真:Getty Images】

円安の流れが止まらず、世界的な物価上昇も続いています。入国制限緩和後に海外へ行ってみて、以前とあまりにも違う物価に驚いた人も多いのではないでしょうか? 世界約50か国以上を旅した元添乗員で、旅アドバイザー&トラベルライターのAnaさんによるこの連載。今回は、世界的コーヒーチェーンの価格を基準に、各国の物価事情をご紹介します。

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フランス、イタリア、スペインでは2割増の感覚

新型コロナウイルスの水際対策が終了しておよそ1年。入国制限緩和後、真っ先に海外へと向かった多くの人たちが「とにかく物価が高すぎる!」と、衝撃の報告をしていたのが記憶に新しいですよね。

私も、2023年からヨーロッパ各地へ何度か訪れていますが、やはりどこもお得感はありませんでした。むしろ、物価のことは考えないようにする……というスキルばかりが、行くたびに長けてきているように思います。

今回は、各国の物価がどれほど高いのか、私が渡航先で見た世界的コーヒーチェーン店「スターバックスコーヒー」の価格を紹介します。

フランス・パリのトールサイズラテはやや割高【写真:Ana】

フランス・パリのスタバは、トールサイズのラテが3.85ユーロ(約630円)。そして、お隣の国スペイン・バルセロナでは3.6ユーロ(約590円)でした。

日本では495円(テイクアウト)なので、2~3割増しといったところです(2024年4月20日現在1ユーロ=164円)。

世界で最も美しいともいわれる、イタリア・ミラノにあるスターバックス第1号店【写真:Ana】

次に、イタリア・ミラノです。そもそもイタリアはチェーン店のコーヒーショップやカフェが少なく、スタバも全土でわずか約20店舗しかありません。

イタリアの第1号店は、2018年にミラノでオープンした「スターバックス・リザーブ・ロースタリー」ブランドの店です。世界に6軒しかない高級路線の大型店舗にふさわしく、元は郵便局だった建物を使った、いかにもヨーロッパらしい美しい外観が特徴です。

ミラノで購入したバタースコッチラテは6.5ユーロ【写真:Ana】

「スターバックス・リザーブ・ロースタリー」は、スタバの通常店舗に比べて、そもそもの値段設定がお高め。また、オリジナルメニューもあるので一概に比較はできませんが、同店舗限定のバタースコッチラテの一番小さいサイズを頼んだら6.5ユーロ(約1100円)でした。日本で近いメニューでは、クラフトキャラメルラテの900円になるでしょうか。

ちなみに、カクテルを頼んだ友人は1杯15ユーロ(約2460円)ほどだったそう。高級ホテルのバー並みの値段です。「外観や内装、雰囲気含めた値段」「ここでしか味わえない」と考えれば、納得できなくもないと思います。

比較的物価が安いといわれるポルトガル【写真:Ana】

日本とほぼ同じ感覚のポルトガル

パリやローマといったEU主要観光地ともなれば、お店で1ユーロ台の飲み物はエスプレッソ以外ほぼ見られません。最低でも2ユーロ台からです。

その点、EUの中で比較的物価が安いと言われるポルトガルでは、首都のリスボンでも、カフェや安いレストランならコーヒーや紅茶、ソフトドリンクが1ユーロ台(頭の数字が1!)から。この時点でかなり安く感じます。

スタバのラテのトールサイズは2.8ユーロ(約460円)。ほかのEU諸国で買ったラテと比べると、なんだかとても安く感じてしまいました。とはいえ、以前は日本よりもいろいろと安く買えるイメージがあったポルトガルですが、円安の今では日本とほぼ変わりません。

円安の影響はなし? エジプトならスタバも安かった

逆に、安い! と思ったのはエジプト。500ミリリットルのミネラルウォーターが1本20円程度なので、エジプトの一般的な物価を考えればスタバは高級店です。

そこでは、アイスラテのトールサイズが60エジプトポンド。昨夏の時点で1エジプトポンド=約4.5円だったので、270円ほどでした。

円安の影響を感じづらいエジプトは、「今が行き時のおすすめの国のひとつ」ではあるのですが、現金を使う場合は米ドルの影響を受ける場合があります。なぜなら、日本の空港や銀行などの両替所では日本円→エジプト通貨に換金できないため、日本からの場合は米ドルを持っていくからです。

実際の出費としては違いますが、現地の価値感覚として1ユーロや1ドルは100円くらいでしょう。ここ最近は1ユーロ160円台なので、日本円に換算すると約1.6倍! 旅好きとしては、実際の支出と感覚に納得できる時代が早く来てほしいものです。

Ana(アナ)
旅アドバイザー&トラベルライター。学生時代から海外旅行に魅了され、これまで世界約50か国をめぐってきた大の旅好きで、海外添乗員として活動していた経験もある。行った旅の数と比例して、経験してきたトラブルや事件は数知れず。コロナ禍を経て、再び海外へ飛びながら旅に役立つ情報、異文化を楽しむ知恵などを日々発信中。

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