彼氏が「職務質問」を受けました。「応じなくてもいいんでしょ?」と言うのですが、義務ではないのですか?

警察官による職務質問とは?

警察官により執行される職務質問は、「警察官職務執行法」という法律で規定されており、具体的には同法の第二条にあたります。

警察官職務執行法第二条1項によると、「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる」とされています。

簡単にいうと、警察官が挙動不審な人物や犯罪に関係していると思われる人物を呼び止め、行き先や用件、住所、氏名などを尋ねる行為を指します。そのほかにも、身分証の提示や所持品の検査を求められるケースもあるようです。

職務質問を求められたときは、応じなくてもいいのか?

職務質問は、直接逮捕にあたる強制捜査ではなく任意の警察活動とされているため、法律上は必ずしも職務質問に応じなくても問題はないといわれています。一方で職務質問を拒否した場合は、「何かあるのでは?」と疑われたり不利な状況になったりする可能性もゼロではないので注意が必要です。

職務質問に対応しないことによって、不利になる点としては以下の2点が考えられます。

__・犯罪に関係があるのではないかと疑われる
・断った際に警察官に触れると公務執行妨害罪に問われる懸念がある__

警察官の質問に答えず立ち去ろうとすると、拒みたい理由があると判断されてしまう可能性があります。さらに、警察官と職務質問中に押し問答になり、警察官の制止を振りほどいたり押したりしてしまうと、公務執行妨害罪に問われ現行犯逮捕されてしまうおそれもあるようです。

なお、刑法第九十五条では「公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。」とされています。

そのため、職務質問をされた際はできる限り拒否をせず、警察官に聞かれたことに対して素直に返答したほうがいいでしょう。

職務質問を求められたときに取るべき行動

たとえ自分にやましいことがなくても職務質問を拒否した際には、さまざまなリスクやトラブルの発生が予想されます。拒んだり逃げたりすると、余計に疑われる可能性があるため注意しましょう。できる限り素直に応じることが大切です。

職務質問は原則任意の調査だが素直に応じることが大切

職務質問は、法律上任意の捜査行為であるため、必ずしも調査に応じなくてもいいとされています。

ただし実際には、断ることで余計に疑われたり警察官の制止を振りほどいたりした際に、公務執行妨害罪に問われ、50万円の罰金または三年以下の懲役になるリスクも考えられます。職務質問されたときには、素直に応じることをおすすめします。

出典

デジタル庁 e-GOV法令検索
昭和二十三年法律第百三十六号 警察官職務執行法 第二条
明治四十年法律第四十五号 刑法 第九十五条

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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