新作ミュージカル「くまのプーさん」開幕 プーらしさを凝縮した1時間の温かい舞台

新作ミュージカル「くまのプーさん」が、2024年4月27日(土)〜5月6日(月・休)の期間、日本橋三井ホールにて公演、7月14日(日)まで全国公演が行われています。

プーのパペットミュージカルが早くも日本上陸

新作ミュージカル「くまのプーさん」は、ディズニー版『くまのプーさん』をパペットで表現したミュージカル作品。2021年にオフブロードウェイで開幕し、欧米など英語圏を中心に公演されていましたが、早くも日本上陸。日本公演は、オール日本人キャストによる全編日本語で演じられます。

プーたち100エーカーの森のキャラクターが、リアルなサイズのパペットで登場。ぬいぐるみがそのまま動き出したかのようです。日本人キャストが自らパペットを操演し、セリフや歌の演技も行うという、高度な技術が求められる舞台ですが、プーたちの動きも可愛らしく声色や喋り方もしっかり表現しています。

プーの音楽やエッセンスを凝縮した1時間

舞台は約1時間。ホールもコンパクトで、ディズニーミュージカルとしては異例のサイズです。その分、リアルなプーたちのぬいぐるみを近くで体感できる、一体感のある会場になります。

物語は、プーがクリストファー・ロビンから学校へいくと告げられるところから始まります。秋、一人になったプーははちみつを探し始めます。そこから冬、春、夏と、100エーカーの森の四季を巡っていくストーリー。

季節によって表情を変えていく100エーカーの森が情緒深く描かれ、同時にプーの物語が紡ぐ時間を超えた感覚は、1日のうちに四季が巡ったように感じるプーたちのように、1時間の舞台でも充実した満足感を得られます。

原作やディズニー映画のストーリーをそのまま追うのではなく、プーがはちみつを探す、ピグレットが凧で飛ばされる、ティガーがラビットの畑を荒らす、プーが穴に詰まるといった、定番のシーンを組み合わせながらストーリーが構成されています。プーとピグレットがこういう場面に遭ったらこう動くよね、といった原作やディズニー作品のセオリー通りに動いていくので、オリジナルの展開ながら安心感があります。

ピグレットから「もうすぐ冬が来る」と言われ、「冬さん」が来訪すると勘違いしたプーが、プレゼント持参まで期待しながら冬を待つなか、冬は人ではないと指摘していたピグレットもいつの間にかプーに諭されてしまい、雪だるまを「冬さん」だとして親しみ、挙句暖かくしてあげようということに。雪だるまを温めたらどうなるかも示されないまま、今度は「春さん」を迎えようとするなど、不条理で特段回収もしないプーらしさが、会場を温かい空間にしてくれます。

口調や動きもしっかり再現。さらに歌も「くまのプーさん」主題歌から始まり、ディズニー映画の歌を多数使用。どれも映画の日本語吹き替え版の歌詞をそのまま使用しているので、耳心地が良いです。

ティガームービーや新くまのプーさんも

歌では「ワンダフル・シング・アバウト・ティガー」の2番や、「ウープディドゥーパー・ループティルーバー・アリウーパー・ジャンプ」といった『ティガームービー/プーさんの贈りもの』の要素も。BGMでは「新くまのプーさん」のオープニングテーマも流れ、様々なプー作品から要素が使われています。

ウープディドゥーパージャンプでは、ティガーとルーだけでなく、プーとラビットまで参加するシーンも。プーの楽曲を生歌で聴くことすら珍しいのに、ここでしか聞けないプーの参加まで楽しめる、ショーストッパーの楽曲です。

オリジナル楽曲もありますが、歌詞には原作から「ティディリーポム」や「シング・ホー」といったプーの詩を取り入れています。どちらも『くまのプーさん 完全保存版II ピグレット・ムービー』で使われている詩ですが、メロディや他の歌詞はオリジナルです。

プーたちのぬいぐるみらしさ、100エーカーの森の包容力が、生の舞台だからこそ表現できる本物の質感として、会場を包み込む、気軽に楽しめプーの世界に浸れるミュージカルです。

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