チャールズ英国王、公の場での公務に復帰 6月には天皇皇后両陛下の公式訪問も

イギリス王室バッキンガム宮殿は26日、国王チャールズ3世が来週から公の場での公務に復帰すると発表した。

すべての公務への完全復帰ではないものの、国王と王妃の公務を管理するバッキンガム宮殿は、がんの治療に進展があったと説明。今後は公の場での公務が増えることになるという。

チャールズ国王は30日、公務として、がん治療センターをカミラ王妃と共に訪れる。患者やスタッフと対面し、がん研究の支援を示す予定。国王自身が治療を受けている施設ではないという。

6月には、日本の天皇皇后両陛下を国賓としてイギリスに招く予定。

王室は国王に関する発表とともに、今月初めにバッキンガム宮殿の庭園で撮影された国王とカミラ王妃の写真も公開した。

治療は継続

今年2月に始まった国王のがん治療はなお継続中で、完了の見通しは明らかにされていない。

バッキンガム宮殿は発表の中で、国王の治療がいつまで続くかを述べるには「時期尚早」だとしている。

一方で、医療チームは「これまでの経過に非常に勇気づけられており、国王の回復の継続に前向きな姿勢を崩していない」、「国王は多くの公務を再開することができる」と付け加えた。

BBCのショーン・コクラン王室担当編集委員は、王室の発表は慎重ながら前向きなものだと指摘する。

しかし、国王の公式誕生日を祝うパレード「トゥルーピング・ザ・カラー」、ノルマンディー上陸作戦の記念式典、バッキンガム宮殿での夏のガーデン・パーティー、ロイヤル・アスコット競馬、秋の外遊など、今後予定される大きな行事に国王が出席するかはまだ不透明な状態が続く。

バッキンガム宮殿は、国王の予定は、時期が近づくにつれ医師の助言に従って決定すると説明。ただし、「通常の夏の行事をすべてこなす」日程にはならないとしている。

日本からの公式訪問は1998年以来

チャールズ国王は今年2月、がんの一種と診断されたと発表した。がんの種類は明らかにされていない。年初に受けた前立腺肥大症の治療中に発見されたが、前立腺がんではないという。

それ以来、国王は首相との定期的な会談など、公の場には出ない一部の公務はこなしてきたが、多くの恒例公務を欠席している。

週明けのがん治療センター訪問は、公の場での公務としては今年初めてとなる。

6月下旬には、日本の天皇皇后両陛下がイギリスを公式訪問する。日本からの公式訪問は、1998年以来初めてとなる。

バッキンガム宮殿での晩餐や馬車でのパレードが予定されているが、国王の体調によって変更の可能性があるという。

イギリス王室にとって、今年は年初から大変な数カ月だった。

キャサリン皇太子妃も今年1月に腹部の手術を受けたほか、3月にはがんの診断を受け、治療の初期段階にあると発表した。

一連の出来事で、王族は世間からの厳しい詮索やソーシャルメディア上の憶測にもさらされてきた。コクラン王室担当編集委員は、今回の朗報を通じてで、王室にとって不安定な時期に区切りをつけたいというのが王室の意向だろうと説明している。

(英語記事 King Charles to resume public duties after progress in cancer treatment

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