花見の余興で始まった伝統の浜競馬 観衆1万人超、ハプニング続出 82歳レジェンドも健在「多くの観覧が励み」 28日、いちき串木野で本番

浜競馬を前に練習で馬を引く瀬戸口春己さん=24日、いちき串木野市の照島海岸

 64回目の串木野浜競馬大会を28日に控え、会場となるいちき串木野市の照島海岸では馬を練習させる様子が見られる。第1回の1958(昭和33)年から知る馬主の瀬戸口春己さん(82)=同市中尾町=もその一人。「馬が元気に走る姿を多くの人に見に来てほしい」と願っている。

 大会は1500メートルの砂浜を舞台に、軽種(競走馬)やばん馬(農耕馬)、ポニーなどがレースを繰り広げる。疾走する姿だけでなく途中で止まるといったハプニングも人気で、4年ぶりに開催した昨年は約1万3000人でにぎわった。

 馬が輸送の主力だった時代、荷馬車組合が花見の余興で走らせていたのが大会になった。瀬戸口さんは10代半ばの頃の第1回から観覧し、64年に組合に入ってからはほぼ毎年参加してきた。6年前までは騎手も務め、何度も優勝した。現在は串木野愛馬同好会の相談役で、3頭を飼う。

 以前は各地に出場を目指す人がいたが、運搬や農業の機械化が進むにつれて飼う人が減ったのを残念がる。それでも見に来る人が多いのが励みだという。24日には愛馬ソールブラック号を連れて海岸を訪れ、同好会員の松山五和人さん(59)を騎手に練習した。「本番が楽しみ。今後も大会が続くようにできる限り関わっていきたい」と話した。

 串木野浜競馬は実行委員会主催。今年は約40頭が出走予定で、午前9時50分から予選、午後1時から決勝がある。一般駐車場の市多目的グラウンドなどと会場を結ぶシャトルバスが運行する。

浜競馬を前に練習する出場予定の馬

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