ヤマダHDの現代EV販売、その勝算は?

●ヤマダHDが現代自動車のEVを販売 ヤマダ電機を運営するヤマダホールディングス(HD)は26日、韓国・現代自動車の新型EV(電気自動車)「KONA」の販売を開始すると発表した。

これまでの他のEVと同様に、新築住宅とEVのセット販売とるが、今回は初めてメーカーから直接仕入れ、個人向けに販売する。

物価高による買い控えや暖冬による冬物暖房器具の売上不振などで、2024年3月期の連結決算が不振だった上に、能登半島沖地震で特別損失も計上したヤマダHDだが、現代自動車のEVが起爆剤となるのだろうか?

●非家電への領域拡大を目指すヤマダHD ヤマダ電機は群馬県高崎市で1973年に創業し、国内の家電量販店では売上1位だ。近年は非家電部門を強化しており、売り場の半分を非家電にする新業態の新規出店を進めており、既存店も、順次切り替えている。

人口減少の日本において、家電だけでは先細りになるという危機感が背景にあり、家具・雑貨・日用品の販売にも注力している。2018年にはエス・バイ・エルを完全子会社化し、2019年には大塚家具、2020年にはヒノキヤグループを子会社化するなど、“くらしまるごと”を提案するビジネスモデルを目指している。

2023年には「YAMADAスマートハウス」を発表。EVや太陽光発電システム、EVの電機を家に送るV2H(Vehicle To Home)機器がセットになっており、電力の自給自足を一戸建てで実現。加えて、ヤマダ電機のポイント100万円~300万円分が付与される。

今回の現代のEVも、この「YAMADAスマートハウス」とのセット販売となる。

●EVの需要がカギ 各国でEV販売が減少するなど、EV需要に陰りが出ており、テスラを筆頭にEVメーカーも苦境が見え始めている。

背景には景気減速に加え、中国メーカーの安値攻勢に押されているという現状もある。

現代自動車もハイブリッド車(HV)の開発に乗り出すなど、EV一本の戦略を見直さざるを得なくなっている。

お互いにとって販路の拡大、新たな顧客層の獲得というウィンウィンの関係を目論んでいるだろうが、太陽光発電システム、EV共に様々な問題が出てきている中ではリスクも高い。

日経平均の下落もあったが、この報道でヤマダHDの株価が上昇することは無かった。期待値は決して高くなく、実際に発売されてからの様子見となりそうだ。

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